事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
第15問
1 Xの主張
(1) Xは、期間満了による賃貸借契約の終了を理由に、建物収去土地明渡請求及び附帯請求として明渡済みまでの賃料相当損害金の賠償請求をしている。その訴訟物は、賃貸借契約に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権(民600)と目的物返還債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権(民415)である。訴訟物の個数は2個であり、両者は両立するから、単純併合(民訴136)である。
請求原因事実は、
①XYは、1982年3月31日に賃料月額3万円として本件土地について賃貸借契約を締結した(民601)、
②Xは、①に基づいてYに本件土地を引き渡した、
③XYは、賃貸期間を1982年3月31日から2012年4月1日までとする合意とした、
④2012年4月1日が経過したこと、
⑤2011年12月末、XがYに更新拒絶する旨の通知をした(借借26Ⅰ)、
⑥正当事由の評価根拠事実(借借28)
⑦本件土地の賃料相当額は月額3万円である(損害とその数額)
である。XY間で建物所有目的の賃貸借契約であることについて争いがないため、Xは、当初から借地借家法の適用を受ける賃貸借契約の終了を...