経済原論前改定・市場の失敗

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    市場の失敗について
    市場の失敗とは市場メカニズムが働いた結果において、パレート最適ではない状態、つまり経済的な「効率性」が達成されていない現象を指す。失業、貧困などの社会問題や格差社会の発生は,正確には経済的な「公平性」が達成されていない現象に属し、定義の上からは市場の失敗とは別の分類である。
    パレート最適とは、ある集団が、1つの社会状態(資源配分)を選択するとき、集団の内誰かの効用(満足度)を犠牲にしなければ他の誰かの効用を高めることができない状態を、パレート最適であると表現する。また誰の効用も悪化させることなく、少なくとも一人の効用を高めることができるとき、新しい社会状態は前の社会状態をパレート改善するという。言い換えれば、パレート効率的な社会状態とは、どのような社会状態によってもパレート改善ができない社会状態である。
    たとえばAさんとBさんがケーキを2人で分けようとしている。
    AさんもBさんもケーキを食べれば食べるほど効用が高まるとする。
    ケーキを2人に取り分けた後、まだケーキが余っている。
    この状況はパレート効率的ではない。何故なら、余ったケーキをさらに分ける事、両者の効用...

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