「アウグスチィヌスの『告白(録)』を読んで、アウグスチィヌスの神学的倫理観の特徴について論じること。」
アウグスティヌスの生涯を理解した上で、『告白(録)』について述べ、神学的倫理観の特徴について考えていきたい。
アウグスティヌスはキリスト教徒の母モニカと異教徒の父パトリキウスの子として、北アフリカのタガステに生まれた。若い頃から弁論術の勉強をし、まずタガステに近いカルタゴ、のちにイタリアで弁論術を学ぶ。
父パトリキウスは死の直前に受洗した。
キリスト教に回心する前は、一時期、善悪二元論のマニ教を信奉していたが、キケロの『ホルテンシウス』を読み哲学に関心をもち、マニ教と距離をおくようになる。その後ネオプラトニズムを知り、ますますマニ教に幻滅を感じた。
当時ローマ帝国の首都であったイタリアのローマに行き、更にその北に位置するミラノで弁論術の教師をするうち、ミラノの司教アンブロジウスおよび母モニカの影響によって洗礼を受けキリスト教徒となった。受洗前に隣家の子どもから「とって読め」という声を聞き、近くにあったパウロ書簡の「主イエス・キリストを身にまとえ、肉欲をみたすことに心を向けるな」を読ん...