~低額譲渡と法人税法22条2項~
・・・実質的に資本金を全額出資している会社
X2が代表取締役として経営支配
・・・金融会社等を営む会社
14万9025株取得(S55~S61) S63.04.01に13万9025株
(一株あたり平均225円) H01.03.31に1万株 譲渡
(いずれも一株あたり225円)
税務署長Y
X1からX2への本件株式の譲渡は、時価よりも低廉なものでなされたものであるとして、X1については法人税法22条2項により時価との差額に相当する金額を益金に参入する更正処分を行い、X2については、X1から時価との差額に経済的利益を受けたものと認定し、同額を給与所得(賞与)とする更正処分を行った。
Yは、本件株式の時価を
S63.04.01・・・一株あたり280円
H01.03.31・・・一株あたり430円とそれぞれ認定
これらの処分の取り消しを求め、X1らが審査請求を経て出訴
①宮崎地裁(H05.09.17判決)…控訴棄却
本件の争点は、X1が、X2に対し行った本件株式の各譲渡が低廉譲渡にあたるか否か、これにあたるとしたときは、時価との差額が原告会社の益金となり、また、原告の所得となるかという点である。
〈争点に対する判断〉
本件株式の時価は、昭和63年4月1日当時は一株280円、平成元年3月31日当時は一株430円を下回ることはないと解されるのであるが、X1は、X2に対して、本件株式を右いずれのときにも、取得価格である一株あたり225円で譲渡したことになる。したがって、X1は、時価より低い価格で本件株式を譲渡したが、このような場合に法人税法22条2項が適用され、時価との差額に相当する金額が益金に算入されるかについて以下判断する。
法人税法22条2項は、資産の右償譲渡に限らず、無償取引に係る収益も益金に算入される旨定めている。この規定によれば、資産の無償譲渡の場合には、その時価相当額が益金に算入されることとなる。ところで、資産譲渡にかかる法人税は、法人が資産を保有していることについて当然に課税されるのではなく、その資産が有償譲渡された場合に顕在化する資産の値上がり益に着目して清算的に課税がされる性質のものであり、無償譲渡の場合には、外部からの経済的な価値の流入はないが、法人は譲渡時まで当該資産を保有していたことにより、有償譲渡の場合に値上がり益として顕在化する利益を保有していたものと認められ、外部からの経済的な価値の流入がないことのみをもって、値上がり益として顕在化する利益に対して課税されないということは、税負担の公平の見地から認められない。したがって、同項は、正常な対価で取引を行った者との間の負担の公平を維持するために、無償取引からも収益が生ずることを擬制した創設的な規定と解される。
このような同項の趣旨及び法人税法37条6項が資産の低額譲渡の場合に譲渡価額と時価との差額を寄附金に含めていることからすれば、同項の無償譲渡には時価より低い価額による取引が含まれるものと解するのが相当である。
したがって、X1が、時価より低い価格で本件株式を譲渡した本件には、法人税法22条2項が適用され、本件株式の譲渡価格と時価との差額に相当する金額が益金に算入されるというべきである。
②…控訴棄却
第一審の判決文をほぼそのまま引用。
③最高裁判所第三小法廷(H07.12.19判
~低額譲渡と法人税法22条2項~
・・・実質的に資本金を全額出資している会社
X2が代表取締役として経営支配
・・・金融会社等を営む会社
14万9025株取得(S55~S61) S63.04.01に13万9025株
(一株あたり平均225円) H01.03.31に1万株 譲渡
(いずれも一株あたり225円)
税務署長Y
X1からX2への本件株式の譲渡は、時価よりも低廉なものでなされたものであるとして、X1については法人税法22条2項により時価との差額に相当する金額を益金に参入する更正処分を行い、X2については、X1から時価との差額に経済的利益を受けたものと認定し、同額を給与所得(賞与)とする更正処分を行った。
Yは、本件株式の時価を
S63.04.01・・・一株あたり280円
H01.03.31・・・一株あたり430円とそれぞれ認定
これらの処分の取り消しを求め、X1らが審査請求を経て出訴
①宮崎地裁(H05.09.1...