『小学校学習指導要領解説算数編』によれば、算数の目標は次のようになっている。「数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身に付け、日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに、活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き、進んで生活に生かそうとする態度を育てる」。この教育的特長を端的に表すのには、「ゆとり教育」と「問題解決型学習」という表現が最適であろう。これは無論、昨今の中央教育審議会(中教審)答申を鑑みれば算数科教育のみならず、他教科にも当てはまるものであろう。しかし、こうした国家的規模での教育方針の転換に際して、習熟度別学習やT・T指導などといった独自の対策をいち早く導入したという点で、数学教育は評価されて然るべきである。したがって以下では、近年の算数教育の代表的特長として、?ゆとりの中での基礎・基本の確実な定着と、?個に応じた指導という二点を取り上げたうえで論じていきたい。なぜなら、この二点が、現行の学習指導要領が目指す「生きる力」、すなわち「確かな学力」を育てる学習指導を進めていくために必要不可欠なものだと考えるからである。
まず、ゆとりの中での基礎・基本の確実な定着に関してであるが、ここでいう「ゆとり」とは何であろうか。ゆとりのある学習とは、子どもが時間的にも、精神的にもじっくりとおこなえる学習であるから、子どもたちはゆとりのある学習のなかで、いろいろな作業的・体験的な活動などに取り組み、数学的諸事象についての意味を理解し、感覚を豊かにしていくことができるようになる。例えば、 やhaという単位は体験を通して実感を伴ってとらえることができるし、表やグラフを日常生活の場面に結び付けたりすることもできる。このようにして、基礎・基本の確実な定着を図ることは非常に重要なことであると言えよう。
『小学校学習指導要領解説算数編』によれば、算数の目標は次のようになっている。「数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身に付け、日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに、活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き、進んで生活に生かそうとする態度を育てる」。この教育的特長を端的に表すのには、「ゆとり教育」と「問題解決型学習」という表現が最適であろう。これは無論、昨今の中央教育審議会(中教審)答申を鑑みれば算数科教育のみならず、他教科にも当てはまるものであろう。しかし、こうした国家的規模での教育方針の転換に際して、習熟度別学習やT・T指導などといった独自の対策をいち早く導入したという点で、数学教育は評価されて然るべきである。したがって以下では、近年の算数教育の代表的特長として、①ゆとりの中での基礎・基本の確実な定着と、②個に応じた指導という二点を取り上げたうえで論じていきたい。なぜなら、この二点が、現行の学習指導要領が目指す「生きる力」、すなわち「確かな学力」を育てる学習指導を進めていくために必要不可欠なものだと考えるからである。
まず、ゆ...