第14章パキスタン

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    第14章  パキスタン <持続的経済発展の基礎条件>
     第一節 経済発展の軌跡
     第二節 マクロ経済の構造的特徴
     第三節 貧困問題と人間開発
     第四節 一つの展望
     
    パキスタンは人口1億4000万人を数え、一人当たりの平均所得は500㌦を下回っており世界銀行の分類では低所得国にあたります。この数字はインド・バングラディッシュを上回りますが、他国に比べて高い人口増加率ゆえに所得の成長率では大いに見劣りします。
    高い人口増加率の背景には、教育や保険衛生面での開発の遅れがあり、特に成人識字率で見るとネパール・バングラデシュの水準に近い状況です。これらを考慮すると500㌦弱という平均所得の数字は生活水準を過大評価していると見てとれます。
    これまでのパキスタン経済は、農業や人的資源という大きな潜在能力を活かしきれておらず、政変に伴う経済政策の大きな揺れと、それに由来する経済パフォーマンスの大きな変動が特徴的でした。今後は単なる経済自由化ではなく経済構造を変動させる大胆な政治改革、制度改革が必要と言われています。
    人口 1人当たりのGDP 100万人 伸び率 US㌦ 成長率 2000年 90~2000 2000年 99~2000 ネパール 24(25) 2.4(2.4) 220(294) 3.1(1.8) バングラデシュ 130(140) 1.6(1.7) 380(431) 3.8(6.5) インド 1,016(1027) 1.8(1.95) 460(648) 3.9(9.4) パキスタン 138(156) 2.5(1.8) 470(925) 3.4(7.0) スリランカ 19(19.6) 1.3(1.1) 870(1197) 4.2(6.0) 低所得国平均 2,459 2 420 3.1 高所得国平均 903 0.7 27,510 3.2
    第一節 経済発展の軌跡
     21世紀を迎えたパキスタン経済は大きな変動期にあります。1998年5月の核実験実施は国際機関や二国間援助停止という経済政策につながり経済は混乱しました。政権もこの混乱を収拾するどころか汚職と不透明で一時的な経済政策に終始しました。今後パキスタン経済はどのような方向へ向かうのか。まずこの節では独立後の経済政策の歴史と成長パフォーマンスを知ることから始めます。
     1 独立直後の経済課題
    パキスタンは1947年、英領インドにおける自治・独立運動の最中に多数派であったヒンドゥー教徒主導の新国家像に反発し、イスラム教徒がムハンマド・アリー・ジンナー指導の下で分離独立しました。領土としてはカシミールを含まない西パキスタンと、そもそもパキスタン国家構想からは抜け落ちていたがイスラム教徒が住民の多数であった東パキスタンとがインドの両側に位置する特異な形となりました。国境線も経済合理性に欠け、パキスタン経済も脆弱なものとなりました。例えば、基幹産業であった農業はインダス河が分離独立後分断されてしまい、この混乱の解決が第一の課題となりました。また、製造業(綿花生産)や流通業(主にヒンドゥー商人が担っていた)はインドに移ってしまう状況でした。
    この状況からの脱却のために、48年「産業政策声明」によって繊維産業などの消費財産業は民間資本が、資本財産業やインフラ整備には政府が役割を果たすと宣言されました。50年にはこれに基づき、パキスタン産業開発公社(PIDC)が設立されましたが、建国の父ジンナー急死などによる政治的混乱によって思ったほど十分な成果は上げられませんでした。
    2 アユーブ・ハーン軍政期の高度経済成長

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    経済

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    第14章  パキスタン <持続的経済発展の基礎条件>
     第一節 経済発展の軌跡
     第二節 マクロ経済の構造的特徴
     第三節 貧困問題と人間開発
     第四節 一つの展望
     
    パキスタンは人口1億4000万人を数え、一人当たりの平均所得は500㌦を下回っており世界銀行の分類では低所得国にあたります。この数字はインド・バングラディッシュを上回りますが、他国に比べて高い人口増加率ゆえに所得の成長率では大いに見劣りします。
    高い人口増加率の背景には、教育や保険衛生面での開発の遅れがあり、特に成人識字率で見るとネパール・バングラデシュの水準に近い状況です。これらを考慮すると500㌦弱という平均所得の数字は生活水準を過大評価していると見てとれます。
    これまでのパキスタン経済は、農業や人的資源という大きな潜在能力を活かしきれておらず、政変に伴う経済政策の大きな揺れと、それに由来する経済パフォーマンスの大きな変動が特徴的でした。今後は単なる経済自由化ではなく経済構造を変動させる大胆な政治改革、制度改革が必要と言われています。
    人口 1人当たりのGDP 100万人 伸び率 US㌦ 成長率 2000年 90~...

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