1. 目的
オシロスコープを用いて振動波形やリサジュー(Lissajous)の図形を観測し、正弦波などの振幅、周波数、位相差の測定を通じて、オシロスコープの基本動作および同期機能について学ぶ。
2. 理論
(1) ブラウン管オシロスコープ
交流電圧などのように時間的に速く変動する信号を観測する装置を、一般にオシロスコープというが、今日では単にオシロスコープといえばブラウン管オシロスコープを指すのが普通である。ブラウン管(Braun tube)は1897年にドイツの物理学者K.F.Braunにより発明されたもので、電子線(陰極線)を用いるため、陰極線管(cathode-ray tube、略してCRT)とも呼ばれ、テレビやコンピュータの表示装置として馴染み深いものである。
電子ビームは電子銃によって作られる。カソード(陰極)がヒータで暖められると熱電子が飛び出す。この熱電子の流れはグリッド(格子)で制御されて、陽極の高電圧で加速され、さらに集束されて細いビームとなる。途中の偏向板(偏向電極)に電圧がかけられていないと、電子ビームは真空中を真直ぐに進んで蛍光面の中央に当たり、輝点を生じる。垂直偏向板の下側を接地し、上側に正の電圧Vをかけると、偏向電極間に下向きの電場が生じ、電子ビームは上向きの力を受けて、輝点は上向きに距離dだけ移動する。偏向距離dは印加電圧Vに比例するので、蛍光面上に適当な目盛りを設けておけば、dを読み取って、Vの値を知ることができる。したがって、オシロスコープのブラウン管は、基本的に輝点の偏位から印加電圧の大きさを知る装置であるといえる。
(2) 波形の測定方法
垂直偏向板に印加する電圧を
のように変化させると、輝点は周波数 [Hz](周期 [s])で上下方向に振動する。この状態で水平偏向板に時間 に比例して変化する電圧を与えると、蛍光面上の輝点は上下、左右方向に動くことになる。このように、水平方向に輝点を動かすことを掃引(sweep)という。
物理学実験 オシロスコープ
目的
オシロスコープを用いて振動波形やリサジュー(Lissajous)の図形を観測し、正弦波などの振幅、周波数、位相差の測定を通じて、オシロスコープの基本動作および同期機能について学ぶ。
理論
(1) ブラウン管オシロスコープ
交流電圧などのように時間的に速く変動する信号を観測する装置を、一般にオシロスコープというが、今日では単にオシロスコープといえばブラウン管オシロスコープを指すのが普通である。ブラウン管(Braun tube)は1897年にドイツの物理学者K.F.Braunにより発明されたもので、電子線(陰極線)を用いるため、陰極線管(cathode-ray tube、略してCRT)とも呼ばれ、テレビやコンピュータの表示装置として馴染み深いものである。
電子ビームは電子銃によって作られる。カソード(陰極)がヒータで暖められると熱電子が飛び出す。この熱電子の流れはグリッド(格子)で制御されて、陽極の高電圧で加速され、さらに集束されて細いビームとなる。途中の偏向板(偏向電極)に電圧がかけられていないと、電子ビームは真空中を真直ぐに進んで蛍光面の中央に当...