妖怪に対する畏怖と驕り

閲覧数2,490
ダウンロード数21
履歴確認

    • ページ数 : 4ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     民族誌の講義では、アフリカのザンデ社会やドゥルマ社会における妖術信仰を事例に挙げ、過去から現在に至る時間の流れの中で妖術がどのように社会の枠組みに取り込まれているかを検討することで、「オカルト」や「非科学的なもの」といった特殊な想像力と社会の関わりを考察してきた。
     考えてみれば、妖術のようなオカルト的な想像、非科学的な想像は時代、場所を問わず世界各地に存在する。神話、説話、伝説はそれが生まれた地域の起源や変遷の物語であり、地域住民の財産でもある。宗教や神の信仰も、しがらみに満ちた現実世界から逃避し、心の支えを欲した人々の特殊な想像によるものだと考えることができ、実際に現代に至るまで信仰者の精神的支柱(時には逆に精神的不安定をもたらすこともあるが)となっている。おばけ、霊魂、妖怪、都市伝説などは人々のもつ、社会に対する恐怖・不安が具現化したもので、現在でも畏怖の対象として存在している。また、UFOや宇宙人の存在は、人間の力を超越した宇宙の神秘への憧れ、ロマンの現われだと言えよう。このように「オカルト的」「非科学的」な想像の例を挙げるときりがない。そこで私は、日本で古来から言い伝えられてきた妖怪を事例に挙げ、妖怪がどのような思考から生まれ、どのような形で日本社会の中に存在し続けているのか考察してみたいと思う。
    ? 妖怪の起源 −アニミズム信仰の視点から−
     妖怪について考察するにあたり、まず始めに妖怪とは何か、妖怪の観念はなぜ生まれたか、ということについて分析してみなければならない。古来、人間は自然の恵みにあやかって生を営んできた。動植物の狩猟採集に始まり、道具の作成や火の使用を経て農耕の技術を身につけ、自分たちの手による食物の生産が可能となった。ある年は気候に恵まれて豊作となり、またある年は日照りもしくは降雨が続いて凶作となる。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    『妖怪に対する畏怖と驕り』
    民族誌の講義では、アフリカのザンデ社会やドゥルマ社会における妖術信仰を事例に挙げ、過去から現在に至る時間の流れの中で妖術がどのように社会の枠組みに取り込まれているかを検討することで、「オカルト」や「非科学的なもの」といった特殊な想像力と社会の関わりを考察してきた。
    考えてみれば、妖術のようなオカルト的な想像、非科学的な想像は時代、場所を問わず世界各地に存在する。神話、説話、伝説はそれが生まれた地域の起源や変遷の物語であり、地域住民の財産でもある。宗教や神の信仰も、しがらみに満ちた現実世界から逃避し、心の支えを欲した人々の特殊な想像によるものだと考えることができ、実際に現代に至るまで信仰者の精神的支柱(時には逆に精神的不安定をもたらすこともあるが)となっている。おばけ、霊魂、妖怪、都市伝説などは人々のもつ、社会に対する恐怖・不安が具現化したもので、現在でも畏怖の対象として存在している。また、UFOや宇宙人の存在は、人間の力を超越した宇宙の神秘への憧れ、ロマンの現われだと言えよう。このように「オカルト的」「非科学的」な想像の例を挙げるときりがない。そこで私は、日...

    コメント1件

    futsal200520 購入
    とても参考になりました。
    2006/07/02 22:11 (18年4ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。