(要約)
消費税率引き上げを巡る政府・与党内の論争において、財務省は「2007年の通常国会に案を出せるようにしなければならない」と述べ、引き上げの早期実現に強い意欲を示している。
一方、自民党の中川政調会長は消費税増税より、歳出削減を先行すべきだとの考えを強調している。国の財政赤字は今年度当初予算で34兆円、国と地方を合わせた長期債務残高は今年度末で774兆円に上る。この赤字を減らすには、国民の負担が増す増税、行政サービスの低下を招く歳出削減の両方が必要となる。
小泉首相は、増税での財源のゆとりによって、行政改革の手が緩むということを理由に、「在任中に消費税率は引き上げない」と繰り返し述べてきた。しかし、道路公団や郵政の民営化、三位一体改革、公務員の削減など一連の改革は、税制論議とは切り離し、それぞれの政策を進める中で完遂を目指すべきである。
歳出削減先行派の意見で財政再建するとしても、日本は約10兆円、4%の消費税引き上げが必要になる。消費税率の引き上げには、軽減税率を導入するか否か、その範囲をどう決めるか、地方への配分をどうするかなど、複雑多岐の議論が求められる。直ちに検討を始めても時間が足りないほどである。
(分析)
今、日本が抱える膨大な財政赤字を減らしていくには、消費税率の引き上げが必要になると思う。これから日本国民の昭和21年から、26年生まれの「第一次ベビーブーマー」たちが2007年から定年を迎え、年金生活者の人口が一気に増える。これによって、社会保障費が増加するなどの歳出を増加させる要因もある。
しかし、歳出削減を前提として消費税率の引き上げを行わずに、2015年度に歳入と歳出のバランスを均衡させるには、消費税19%と、あまりに非現実的な数字になってしまう。
消費税率引き上げの必要性
(要約)
消費税率引き上げを巡る政府・与党内の論争において、財務省は「2007年の通常国会に案を出せるようにしなければならない」と述べ、引き上げの早期実現に強い意欲を示している。
一方、自民党の中川政調会長は消費税増税より、歳出削減を先行すべきだとの考えを強調している。国の財政赤字は今年度当初予算で34兆円、国と地方を合わせた長期債務残高は今年度末で774兆円に上る。この赤字を減らすには、国民の負担が増す増税、行政サービスの低下を招く歳出削減の両方が必要となる。
小泉首相は、増税での財源のゆとりによって、行政改革の手が緩むということを理由に、「在任中に消費税率は...