「個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について述べよ。」
個別援助技術は、集団援助技術と共に直接援助技術の一つとして存在する。利用者自身への直接的な援助技術であり、特徴ある方法によって行われる。
個別援助技術は、伝統的な社会福祉固有の手段の一つである「ケースワーク」を日本語化したものである。支援者が、利用者の立場に立ち、環境を整え、社会福祉サービスを提供し、抱えている問題・課題を利用者自身の力でもって解決する事を促すものである。その際、支援者は利用者を個別化して行う。その為には利用者を良く理解し、最適な支援を提供し、そして利用者中心の支援をして行く事、それが重要なのである。そこで果たされる機能は支援効果である。あくまでも利用者の能力で問題解決するよう支えていく、「支援」して行くのである。それが「個別援助技術」の視点である。
個別援助技術(ケースワーク)は、正しくはソーシャル・ケースワークという。何故「ソーシャル」が頭に付くかというと、社会的な事柄を扱うものであり「社会と関わりがあり、社会的に意味のある事件や困難状況を扱う仕事」と理解出来るからだ。社会との関わりとは、人間と生活環境の様々な関係の中で問題を理解する事である。
次に、個別援助技術を行うに当たり、注意する事がある。個別援助技術は個人の生活問題を「個別」に扱う事を忘れてはならない。例え認知症の方の援助を進めるにしても、あの人とこの人は別の人。他の利用者の例に当てはめるのではなく、その方の立場で問題を考えていかなければならないのである。
他にも、利用者の自己解決を促す点から、利用者の潜在する自己能力を引き出す関わり方をする必要がある。利用者は、問題を目前にして努力が報われなかった為等の理由により、ネガティヴになってしまう場合がある。支援者は利用者と信頼関係を築き、困難に立ち向かって行かなければならない。潜在する内的能力を引き出す事で問題解決を可能にする事が出来るからである。
更に、フォーマル、インフォーマルな社会資源の有効利用、そして親族関係、近隣との人間関係、経済問題等、利用者を取り巻く生活環境への積極的な働き掛けも必要なのである。内的能力を活用出来ているのか否か、その要因について考える事も大事な事なのである。それは利用者の個人的な問題でありながら、地域の生活環境、地域社会の現状について、地域のニーズを明らかにする事に繋がるからである。福祉ニーズ、福祉サービスが多様化している現在、それらが正確に提供されているのか確認する作業も必要なのである。やはりこの視点でも、個別的な関わりが求められているのである。
①リッチモンド、②バワーズ、③ハミルトン、④パールマン、⑤ホリス、⑥バートレット、⑦ジャーメインそれぞれの個別援助技術の定義をまとめてみる。
①リッチモンドの定義(1922年)
リッチモンドは、ケースワークという言葉を始めて使い、「ケースワークの母」と呼ばれている人物である。1922年の著書「ソーシャル・ケース・ワークとは何か」の中で、彼女は「ソーシャル・ケース・ワークは人間とその社会環境との間を個別に、意識的に調整することを通して、パーソナリティを発達させる諸過程からなっている」と記している。個別援助とは、人から人へ働き掛ける「直接的活動」と、社会関係を通じて働き掛ける「間接的活動」との両面から行われる必要があるとしている。
リッチモンドが定義した事は、問題解決を図るには「心理学や社会科学への熟練が必要」と述べ、個別援助技術の過程を「社会調査・社会診断・社会治療」に分けて、援助を「人と
「個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について述べよ。」
個別援助技術は、集団援助技術と共に直接援助技術の一つとして存在する。利用者自身への直接的な援助技術であり、特徴ある方法によって行われる。
個別援助技術は、伝統的な社会福祉固有の手段の一つである「ケースワーク」を日本語化したものである。支援者が、利用者の立場に立ち、環境を整え、社会福祉サービスを提供し、抱えている問題・課題を利用者自身の力でもって解決する事を促すものである。その際、支援者は利用者を個別化して行う。その為には利用者を良く理解し、最適な支援を提供し、そして利用者中心の支援をして行く事、それが重要なのである。そこで果たされる機能は支援効果である。あくまでも利用者の能力で問題解決するよう支えていく、「支援」して行くのである。それが「個別援助技術」の視点である。
個別援助技術(ケースワーク)は、正しくはソーシャル・ケースワークという。何故「ソーシャル」が頭に付くかというと、社会的な事柄を扱うものであり「社会と関わりがあり、社会的に意味のある事件や困難状況を扱う仕事」と理解出来るからだ。社会との関わりとは、人間と生活環境の...