ヨーロッパにおける民主主義政体(歴史的な発展の経過と長所短所)
民主主義と聞きすぐに私の頭に思い浮かぶのは、イラク戦争をおこなう際に「民主主義を野蛮な国家に根付かせる」というアメリカのブッシュ大統領の言葉である。この言葉を聞いた時、私の頭の中では「民主主義ってこういうものなのか?」という疑問が浮かび、大変いぶかしく思ったのである。私自身、民主主義の定義など詳しいことは分からないが、民主主義にこのような「強制的な姿勢」があってよいのだろうか、という歯がゆい思いをなぜか感じたのだ。また、「民主主義とは古代ギリシアから生まれたが、今なおその形態は変わりつつもその言葉を継承しているのはなぜか?」ということも疑問として生じてきた。今から2000年以上もの前の人々が誕生させた民主主義を、今生きているわれわれが参考にしている、きっとこのように長い年月を経ても参考足りうるのには理由があるのだろう、と感じたのだ。
自分の中で、民主主義の歴史とその変遷を調べ、そして今現在の民主主義につながる考えを自分の中で養っていきたいと感じたため、今回ヨーロッパにおける民主主義の歴史を調べていこうと思った。このテーマを考察していくにあたり、民主主義をどのように歴史の中で扱っていったか、そして、どのように発展していったか、また、これからの民主主義に求められるものとは一体何であろうか、ということを考えるきっかけとしたい。
まず、民主主義が誕生した古代ギリシアにおける民主政について述べてみたい。ギリシアではペルシア戦争後に民会と呼ばれる18歳以上の男子全市民が参加できる機関が最高決議機関となった。この背景にはペルシア戦争での平民の活躍がある。戦時中重層歩兵として活躍した市民たちは、戦後発言権を持ち、政治的位置を高めた平民が従来あった貴族政から民主政へと移行させることを促したのである。このことをきっかけとして、18歳以上の男子全市民を対象とした民会を中心に、500人評議会や民衆裁判も設置した。市民の政治的平等の考え方を原則としたのだ。また、不平等の創出を防止する制度的工夫として輪番制を設けるなどの策もとられた。このような平等性によって市民は、公的な事柄に自らが参加することによって自分の本性を発揮する機会を与えられ、ロゴス(理性や言語)を通した卓越性の獲得により、ポリス的な動物としての自らのアイデンティティを確立しいくことになったのである。ギリシアにおける民主政はこのように従来の貴族制にはなかった平等という概念がうたわれ、ポリスを統治する市民の我々意識を涵養したが、歴史的な制約もあった。それは、平等ということを述べていながらも女性や居住外国人や奴隷などには市民権が与えられなかったということである。ここに現在の民主主義との大きな違いがあらわれている。もちろん時代背景も違えば、社会構成も異なっているため単純に比較をすることは慎まなければならないが、このような歴史的な制約があったことは確かであった。ギリシアの民主政はペリクレス時代において最全盛を迎えたが、やがてギリシアは扇動政治家によって民会を操られ、衆愚政治へと陥っていくことになる。上記のことを踏まえた上でまとめとしてみると、ギリシアにおける民主主義とは、ポリスを一つの単位として平等をうたい我々意識を涵養する政治体型である一方、女性や居住外国人は排除するなどの平等ではない政治体型であり、扇動政治家に対する対処もとることができなかった、ということが一口で言える。
では、市民(もちろん18歳以上の男子に限る)がみんなで政治を行うという
ヨーロッパにおける民主主義政体(歴史的な発展の経過と長所短所)
民主主義と聞きすぐに私の頭に思い浮かぶのは、イラク戦争をおこなう際に「民主主義を野蛮な国家に根付かせる」というアメリカのブッシュ大統領の言葉である。この言葉を聞いた時、私の頭の中では「民主主義ってこういうものなのか?」という疑問が浮かび、大変いぶかしく思ったのである。私自身、民主主義の定義など詳しいことは分からないが、民主主義にこのような「強制的な姿勢」があってよいのだろうか、という歯がゆい思いをなぜか感じたのだ。また、「民主主義とは古代ギリシアから生まれたが、今なおその形態は変わりつつもその言葉を継承しているのはなぜか?」ということも疑問として生じてきた。今から2000年以上もの前の人々が誕生させた民主主義を、今生きているわれわれが参考にしている、きっとこのように長い年月を経ても参考足りうるのには理由があるのだろう、と感じたのだ。
自分の中で、民主主義の歴史とその変遷を調べ、そして今現在の民主主義につながる考えを自分の中で養っていきたいと感じたため、今回ヨーロッパにおける民主主義の歴史を調べていこうと思った。この...