子どもを「育つ・育てられる」という視点のもとで、乳幼児の「愛着と自立」について述べよ。
子どもの好意を理解し、保育・教育を組み立てるためには、発達を知ることが不可欠である。知識として身につけた上で、目の前にいる子どもたちを多角的に捉え、また発達を促進するようなかかわりを考えなければならない。発達は我が身に起こることだが、発達するためには親、またはそれに代わる保育者の力が必ず必要である。「育つ」のは確かに子どもであるが、「育てられる』のも、やはり子どもであるのだ。親またはそれに代わる保育者は、それぞれを中心に、自分や他の子どもではなくその子を主役と捉えた観点からも見なければならないのである。今回はこの視点より乳幼児の愛着の形成と自立性の育成について述べていく。
新生児は誕生後半年の乳児と比べると、睡眠時間や空腹欲求が規則的であり、また眠りの時間が長く、それを主として存在している。誕生後1ヶ月を過ぎるころから、だいたい呼吸のリズムにのって泣き声とは異なる発声が現れる。更にそれは生後2ヶ月ごろから呼吸のリズムとは独立して現れるようになる。この頃に、言語的音声の獲得が起こるのである。
生後2ヶ月頃からは「喃語」が目立ち始める。喃語とは、乳児が機嫌の良いときなどに自発的に現れる意味の無い発声のことである。また、ガラガラ等の動きに反応し、それを喜ぶようになる。他にも目が合うと人の顔をじっと見るようになるという特徴があり、そのときに名前を呼んで微笑みかけると大抵喃語を発し笑顔を見せるのである。生後4,5ヶ月ほどすると、首が据わってくる。そして、物を握らせると自分の顔の前に持ってくる等のことができるようになる。6,7ヶ月すると喃語がほぼ完成する。顎や舌をコントロールして後の母音、子音となるような音声を発生できるようになる。更に、母親が乳児に話しかけたりすることで、乳児は母親に愛着を形成する。すると、乳児は母親への喃語が活発に行なわれるようになる。この応答は、言語的音声の発達を促進する重要な要因となるのである。また、ガラガラ等の音の出る玩具に興味を持ったり、掴んだ物を口に持っていったりするなどの運動面の発達が盛んである。
8ヶ月から11ヶ月ごろになると、自分の意思表示をかなりはっきりするようになってくる。そして、自分が不安になったり戸惑ったりすると、ちらっと保育者の方を見るなどして大人の気持ちを確かめ、「アー」という音声で大人に伝えようとしたりする。また、周囲の人のすることをじっと見て、自分なりにやってみようと真似をするようになるのである。これは、その物体よりも自分にとって大事な人が使っているということに起源があると考えられている。
1歳から1歳半になると主体的・自発的な活動がますます活発になるそして、大人が日常している行為を同じようにしてみようとするのである。
こういった愛着の形成であるが、ボウルビィは、生まれてまもなく家庭から離れ、施設で生活する子どもの心身への影響について検討し、母性的養育の喪失は子どもに深刻な障害をもたらすという考えを示した。これは、初期の母子関係をめぐる愛着(アタッチメント)理論の提唱者として、施設児に関する研究で示した。また、マタ-ナル・デプリベーション(母性剥奪)という概念は愛着理論の出発点となっている。
この母性剥奪であるが、乳幼児が多く死ぬ時代があり、この原因の一つを現代では、「マタ-ナル・デプリベーション」と表現することが多々ある。
二十世紀初頭に、乳児院・孤児院等に収容されて育った乳幼児に高い死亡率や罹患率、あ
子どもを「育つ・育てられる」という視点のもとで、乳幼児の「愛着と自立」について述べよ。
子どもの好意を理解し、保育・教育を組み立てるためには、発達を知ることが不可欠である。知識として身につけた上で、目の前にいる子どもたちを多角的に捉え、また発達を促進するようなかかわりを考えなければならない。発達は我が身に起こることだが、発達するためには親、またはそれに代わる保育者の力が必ず必要である。「育つ」のは確かに子どもであるが、「育てられる』のも、やはり子どもであるのだ。親またはそれに代わる保育者は、それぞれを中心に、自分や他の子どもではなくその子を主役と捉えた観点からも見なければならないのである。今回はこの視点より乳幼児の愛着の形成と自立性の育成について述べていく。
新生児は誕生後半年の乳児と比べると、睡眠時間や空腹欲求が規則的であり、また眠りの時間が長く、それを主として存在している。誕生後1ヶ月を過ぎるころから、だいたい呼吸のリズムにのって泣き声とは異なる発声が現れる。更にそれは生後2ヶ月ごろから呼吸のリズムとは独立して現れるようになる。この頃に、言語的音声の獲得が起こるのである。
生...