幼稚園または小学校の教育課程編成上留意すべきことについて述べなさい。
教育課程とは、公的な教育機関である学校がその教育目標を達成するために幼児・児童に提供する教育内容と学習経験の学校全体の計画である。
それでは、学校における教育目標とはどのようなものであろうか。今回は、幼稚園について考えてみたい。幼稚園の教育目標は、我が国の学校教育制度の基本となるものだが、その第77条に「幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする」と定められている。そして、この目的を達成するための保育内容を示した、文部科学省の幼稚園教育要領には、「幼児期における教育は、家庭との連携をはかりながら、生涯にわたる人間生成の基礎を養うために大切なものであり、幼稚園は、幼児教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活を通して生きる力の基礎を育成するよう、学校教育法第78条に規定する幼稚園教育の目標の達成に努めなければならない」、とされている。
幼稚園は、学校教育法第1条に「学校である」ことが規定されている。「学校」であるということは、心身の発達を助長する教育の場として、教育内容や方法が意図的、計画的、組織的にされ、それにふさわしい環境が人的・物的に用意されることが要求されるのである。従って、個々の幼稚園が、目的や目標に向かって、どのような道筋を辿っていくかを捉え、幼児期に必要な教育内容を吟味検討して、充実した生活が展開できるような全体計画としての教育課程を必要とするのである。このように、幼稚園における全教育期を見通した、教育内容の全体計画が教育課程になるのである。
また、幼稚園の目的を達成するために、教育課程を編成する際に、その指針となるものが、学校教育法第78条によって示されている。それは、保育に関する目標として、健康、人間関係、環境、言葉、表現という5つの領域について掲げられている。その主な目的は、
健康:健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。
人間関係:他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。
環境:周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持って関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。
言葉:経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
表現:感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。
と、されている。この領域の指導事項では、幼児の具体的な生活経験はいくつかの領域にまたがり、交錯して現れるものなので、小学校のように国語や社会といった教科での枠では指導できないという考えに基づいている。そして、幼稚園は一人ひとりの幼児が自ら発達しようとし、内的充実を味わうような生活の場であるとともに、人間として生きる力の基礎を身につけるための場であるという考えによって、その指導領域の内容がまとめられている。それぞれの幼稚園は、この目標の達成に努めなければならないとされており、例を挙げると「朝、体操をする」「乾布摩擦をする」「折り紙を」等という幼稚園や保育所でよく見られる光景を思い浮かべることができるであろう。その達成に努める指針となるものが、昭和31年に文部省(現文部科学省)によって定められた『幼稚園教育要領』である。
それぞれの幼稚園においては、『幼稚園教育要領』に基づき、幼児期にふさわしい教育の展開を目指す幼稚
幼稚園または小学校の教育課程編成上留意すべきことについて述べなさい。
教育課程とは、公的な教育機関である学校がその教育目標を達成するために幼児・児童に提供する教育内容と学習経験の学校全体の計画である。
それでは、学校における教育目標とはどのようなものであろうか。今回は、幼稚園について考えてみたい。幼稚園の教育目標は、我が国の学校教育制度の基本となるものだが、その第77条に「幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする」と定められている。そして、この目的を達成するための保育内容を示した、文部科学省の幼稚園教育要領には、「幼児期における教育は、家庭との連携をはかりながら、生涯にわたる人間生成の基礎を養うために大切なものであり、幼稚園は、幼児教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活を通して生きる力の基礎を育成するよう、学校教育法第78条に規定する幼稚園教育の目標の達成に努めなければならない」、とされている。
幼稚園は、学校教育法第1条に「学校である」ことが規定されている。「学校」であるということは、心身の発達を助長する教育の場として、教育内容や方...