「イリアス」に見るピュシスとしての神々

閲覧数3,587
ダウンロード数6
履歴確認

    • ページ数 : 4ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    『イリアス』に見るピュシスとしての神々
    はじめに
     有名なホメロスの大叙事詩『イリアス』では人間と神々が交錯している世界が描かれている。キリスト教的な神においては、神と人間の存在する世界が交錯することはあり得ない。事実、ギリシア世界の神はキリスト教世界の神とは全く違う性格を持っており、ギリシア世界が捉える神とキリスト教世界が捉える神が意味において全く違った存在である。
    今回は『イリアス』で人間と神々の世界が交錯している理由を、ギリシア世界の神を語る上で重要な「ピュシス」という概念に焦点を当て、ギリシアの神々の性格を明らかにすることで解いていく。
    1、ホメロスの神々とその人間性
     まず、ギリシア世界の神がどのような性格をもっているかをホメロスの大叙事詩『イリアス』を参考にして明らかにしていく。『イリアス』の世界では人間と神々の世界は交錯している。言い換えれば、人間の存在している世界と神々の存在している世界とがまるで同じ世界であるかのように物語が展開している。
    たとえば文頭には、ギリシア軍の大将アガメムノンと英雄アキレウスとの争いを引き起こす原因を描く場面において神々と人間の世界の交錯が見...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。