最近の中国情勢と日中関係
提供機関 : 外務省
提供機関 URL : http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/kankei.html
中国情勢
1.内政
胡錦濤(こ・きんとう)国家主席・温家宝(おん・かほう)総理の新指導部の発足
2002年11月の第16回党大会(中国共産党全国代表大会)及び一中全会(中国共産党第16期中央委員会第1回全体会議)を経て、胡錦濤総書記をはじめとする党の新指導部が選出され、続いて昨年3月、全人代(第10期全国人民代表大会第1回会議)において国家指導部は胡錦濤国家主席をはじめとする新たな体制へ移行。
第10期全国人民代表大会第2回会議(3月5日〜14日)
新指導部発足後初の全人代。この一年間の政府の活動の総括と今後の方針が示され、実務重視、「親民」姿勢を強調。
憲法改正も行われ、「三つの代表」思想、私有財産制、人権の尊重と保障等が盛り込まれた。
四中全会(第16期中央委員会第4回全体会議)の開催 (9月16日〜19日)
江沢民党中央軍事委員会主席が辞任し、胡錦濤国家主席兼党総書記が同主席に就任。これにより胡錦濤は、党、国家に続き軍の最高位のポストを掌握。
今次会合のコミュニケでは、胡錦濤・温家宝体制が目指す「親民」、「反腐敗」の方針を明確化。
昨年の三中全会のコミュニケに比べ、党の執政能力建設強化等、政治重視の内容。
新指導部の着実な政策運営
胡錦濤国家主席・温家宝総理を中心とする新指導部は、基本的に江沢民政権の政策方針を踏襲しながら、(a)党・政府の学習会・工作会議の公表等政治の透明性の向上、(b)農村問題、失業者対策、西部・東北問題への取り組み等社会的弱者対策の重視、(c)頻繁な地方・現場視察、奢侈の廃止等の実務重視といった独自色を打ち出しつつ、着実な政策運営にあたっている。昨年12月30日に胡錦濤党総書記自らが署名した「一号文件」においても、農民収入の増加をテーマとしている。
各地での民衆抗議行動に関する報道の増加
本年10月以降、重慶市、安徽省、四川省、広東省等における民衆の抗議行動が、主に香港メディアを通じ累次報じられている。
【党大会】
中国共産党の最も重要な事項を決定する会議。77年の第11回党大会以降は5年ごとに開催されている。
【一中全会】
今次一中全会では、総書記、中央政治局メンバー(常務委員、委員、候補委員)、中央書記処書記、党中央軍事委員、中央紀律検査委員が選出された。
【第16期中央政治局常務委員】
胡錦濤、 呉邦国(副総理)、 温家宝(副総理)、 賈慶林(前北京市党委書記)、 曾慶紅(前党中央組織部長)、 黄 菊(前上海市党委書記)、 呉官正(山東省党委書記)、 李長春(広東省党委書記)、 羅 幹(国務委員) 以上9名の平均年齢は第15期常務委員の70.4歳から62.0歳へ若返った。 (注)括弧内は選出時の肩書 【新国家指導者】 国家主席 : 胡錦濤 国家副主席 : 曾慶紅 国家中央軍事委員会主席 : 胡錦濤 国家中央軍事委員会副主席 : 胡錦涛 : 郭伯雄 : 曹剛川 全人代常務委員会委員長 : 呉邦国 国務院総理 : 温家宝 全国政協主席 : 賈慶林 国務院副総理 : 黄 菊 : 呉 儀 : 曾培炎 : 回良玉
【三つの代表】
2000年2月、江沢民総書記(当時)が発表。「中国共産党は、(1)中国の先進的な社会生産力の発展の要求、(2)中国の先進的文化の前進の方向、(3)中国の最も広範な人民の根本的利益、を代表すべき
最近の中国情勢と日中関係
提供機関 : 外務省
提供機関 URL : http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/kankei.html
中国情勢
1.内政
胡錦濤(こ・きんとう)国家主席・温家宝(おん・かほう)総理の新指導部の発足
2002年11月の第16回党大会(中国共産党全国代表大会)及び一中全会(中国共産党第16期中央委員会第1回全体会議)を経て、胡錦濤総書記をはじめとする党の新指導部が選出され、続いて昨年3月、全人代(第10期全国人民代表大会第1回会議)において国家指導部は胡錦濤国家主席をはじめとする新たな体制へ移行。
第10期全国人民代表大会第2回会議(3月5日〜14日)
新指導部発足後初の全人代。この一年間の政府の活動の総括と今後の方針が示され、実務重視、「親民」姿勢を強調。
憲法改正も行われ、「三つの代表」思想、私有財産制、人権の尊重と保障等が盛り込まれた。
四中全会(第16期中央委員会第4回全体会議)の開催 (9月16日〜19日)
江沢民党中央軍事委員会主席が辞任し、胡錦濤国家主席兼党総書記が同主席に就任。これにより胡錦濤は、党、国家に続き軍の最高位のポストを掌握。
今次会合のコミュニケでは、胡錦濤・温家宝体制が目指す「親民」、「反腐敗」の方針を明確化。
昨年の三中全会のコミュニケに比べ、党の執政能力建設強化等、政治重視の内容。
新指導部の着実な政策運営
胡錦濤国家主席・温家宝総理を中心とする新指導部は、基本的に江沢民政権の政策方針を踏襲しながら、(a)党・政府の学習会・工作会議の公表等政治の透明性の向上、(b)農村問題、失業者対策、西部・東北問題への取り組み等社会的弱者対策の重視、(c)頻繁な地方・現場視察、奢侈の廃止等の実務重視といった独自色を打ち出しつつ、着実な政策運営にあたっている。昨年12月30日に胡錦濤党総書記自らが署名した「一号文件」においても、農民収入の増加をテーマとしている。
各地での民衆抗議行動に関する報道の増加
本年10月以降、重慶市、安徽省、四川省、広東省等における民衆の抗議行動が、主に香港メディアを通じ累次報じられている。
【党大会】
中国共産党の最も重要な事項を決定する会議。77年の第11回党大会以降は5年ごとに開催されている。
【一中全会】
今次一中全会では、総書記、中央政治局メンバー(常務委員、委員、候補委員)、中央書記処書記、党中央軍事委員、中央紀律検査委員が選出された。
【第16期中央政治局常務委員】
胡錦濤、 呉邦国(副総理)、 温家宝(副総理)、 賈慶林(前北京市党委書記)、 曾慶紅(前党中央組織部長)、 黄 菊(前上海市党委書記)、 呉官正(山東省党委書記)、 李長春(広東省党委書記)、 羅 幹(国務委員) 以上9名の平均年齢は第15期常務委員の70.4歳から62.0歳へ若返った。 (注)括弧内は選出時の肩書 【新国家指導者】 国家主席 : 胡錦濤 国家副主席 : 曾慶紅 国家中央軍事委員会主席 : 胡錦濤 国家中央軍事委員会副主席 : 胡錦涛 : 郭伯雄 : 曹剛川 全人代常務委員会委員長 : 呉邦国 国務院総理 : 温家宝 全国政協主席 : 賈慶林 国務院副総理 : 黄 菊 : 呉 儀 : 曾培炎 : 回良玉
【三つの代表】
2000年2月、江沢民総書記(当時)が発表。「中国共産党は、(1)中国の先進的な社会生産力の発展の要求、(2)中国の先進的文化の前進の方向、(3)中国の最も広範な人民の根本的利益、を代表すべき」とする方針。
2002年11月の第16回党大会で、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、トウ小平理論と同列の重要思想として党規約に盛り込まれた。
2.外交
(1) 総論
中国は、経済発展の確保のために「安定した周辺環境」を必要とする観点から、全方位外交を積極的に展開。特に近隣諸国及び大国との良好な関係の構築に向け、善隣友好外交を推進。また、G8(新興国・途上国との対話)、上海協力機構、ASEAN+3、APEC等の国際的な枠組みへの積極的な取組みも見られる。こうした外交姿勢は、胡錦濤国家主席の外遊(昨年5月:ロシア、フランス、カザフスタン、モンゴル、昨年10月:タイ、豪、ニュージーランド、本年1〜2月:フランス、エジプト、ガボン、アルジェリア、6月:ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ウズベキスタン、11月:エジプト、アルゼンチン、チリ(APEC)、キューバ)にも表れている。
(2) 米中関係
2002年の両国首脳による相互訪問を契機として、米中関係は基本的に良好に推移。米中双方は首脳外交を軸に「建設的協力関係」の促進を図っている。昨年は、2回の米中首脳会談(昨年6月於エビアン、昨年10月APEC於バンコク)において、米中間の建設的協力関係を改めて確認するとともに、北朝鮮の核開発問題等をめぐり、首脳間や外相間の電話会談が活発化。
昨年12月7日〜10日温家宝総理が訪米。本年4月13日〜15日に、チェイニー米副大統領、7月8〜9日にライス大統領補佐官、10月25日にはパウエル国務長官がそれぞれ訪中。それらハイレベルの交流において「建設的協力関係」を確認。台湾問題、北朝鮮情勢、貿易通商問題、人民元等について議論。
(3) 中露関係
2001年7月の江沢民主席訪露時に「中露善隣友好協力条約」を締結。2002年12月、プーチン大統領が訪中し、北朝鮮・イラク問題の平和的解決等を謳った共同宣言に署名。昨年5月、胡錦濤国家主席がロシアを公式訪問し、プーチン大統領との首脳会談で、中露間の戦略的協力パートナーシップの強化を確認し、北朝鮮・イラク問題等につき協議。会談後、共同声明を発表。また、本年9月には温家宝総理が訪露しプーチン大統領、フラトコフ首相等と会談、経済・エネルギー分野での協力強化等につき合意。また、10月にはプーチン大統領が訪中し、一部未解決であった東部国境画定の「追加合意文書」に調印し、約4300キロに及ぶ中露国境がすべて画定。
(4) 中朝関係
2002年10月に北朝鮮の核開発問題が浮上して以来、中国は、朝鮮半島の非核化及び対話による平和的解決を望むとの立場を表明。同問題に関し、昨年4月、初の米朝中3か国協議、8月及び本年2月、6月に、六者会合を北京で開催。なお、4月18日−21日、金正日総書記が訪中し、一連の会談において、六者会合への積極的参加を表明。中国は北朝鮮に対し無償援助を決定。
ASEAN+3 (昨年10月7・8日、於バリ)
中国は東南アジア友好協力条約(TAC)に署名。また、中ASEAN戦略パートナーシップ共同宣言に署名。また、政治、経済、社会、安全保障及び地域・国際協力での協力強化に合意。
なお、「中・ASEAN包括的経済協力のための中・ASEAN枠組み協定」(2010年までにFTA締結を目指す協定)は2002年署名済み。
中・EU関係
中国は、EU25カ国体制(5月初〜)に時期を合わせ、集中的に首脳外交を展開。5月初、温家宝総理は、拡大したEU諸国を外国首脳として初めて訪問。中・EU戦略的パートナーシップ及び広範な経済関係の強化を目指すことで合意し、共同声明を発表。5月末には、呉邦国全人代委員長が欧州を歴訪。6月には、胡錦濤国家主席が1月の訪仏に次ぎ、2度目の欧州訪問を行うなど、経済関係の更なる強化を図るとともにEUに力点を置いた多極化外交を推進。EU側からは、10月にシラク仏大統領が訪中した。12月にはシュレーダー独首相の訪中、および中・EUサミットの開催が予定されている。
その他
(イ) 昨年6月、バジパイ首相が訪中(インド首相としては10年ぶり)し、中印経済関 係を更に発展させることを確認し、チベット自治区が中国の領土である旨明記した「中印関係及び包括的協力の原則に関する宣言」に署名。
(ロ) 昨年7月には盧武鉉韓国大統領が初めて訪中し、胡錦濤国家主席らと会談。北朝鮮の核問題について、対話を通じた平和的解決を確認する共同声明を発表。なお、本年8月、高句麗に関する中韓の立場の違いが政治問題化。双方は、外交ルートを通じ協議し、同24日に、政治問題化を回避し適切に処理することを口頭にて合意。
【中国のミサイル等拡散問題】
2000年11月、米中間では、中国が他国のミサイル開発を支援しない旨の合意が成立。しかし、米国政府は、中国側が同合意を遵守していないとの懸念を再三表明。これに対し中国は、2002年8月・10月に関連部品等の輸出管理に関する4つの国内法を制定。
2002年10月の米中首脳会談では、不拡散問題を主とする新たな安保対話を早期に開催することで一致。
【中国の人権問題】
中国は2002年10月、米国側が釈放を求めていた「政治犯」のチベット族尼僧(ガワン・サンドロル)を、江沢民訪米の直前に仮釈放。同12月には米中人権対話が北京で開催された。
【米中の主要な交流・対話】
○2002年○
11月・米海軍艦艇の青島寄港 12月・米中防衛協議 ・アーミテージ国務副長官の訪中 ・ファーゴ太平洋軍司令官の訪中 ・米中人権対話 ○2003年○
1月・米中外相会議 ・米中安全保障対話 2月・パウエル国務長官訪中 6月、10月・米中首脳会談 12月・温家宝総理訪米 ○2004年○ 1月・アーミテージ国務副長官訪中 4月・チェイニー副大統領訪中 7月・ライス大統領補佐官訪中 ・ファーゴ太平洋軍司令官の訪中 10月・パウ...