★捜査当局とマスコミについてまとめ
○大衆の正義感を利用する検察
私はここでは、ロッキード事件を通じてこのような積極面、プラス面をうかがおうとしているのではない。私の見方はもっと悲観的である。それはロッキード事件をきっかけに、自民党主流―検察庁―マスコミ―「世論」と称する大衆の熱狂の四者によって「壮大なるファシズム」が演じられたのではないかという危惧の念である。・・・私は「壮大なるファシズム」という言葉を使ったが、「大衆化」という言葉で置きかえてもよい。大衆の意見・感情(つまり「世論」)のおもむくところ、常に民主的であり、正義でさえあるとする風潮は日本人の一つの特徴かも知れない。検察はこの風潮を巧みに利用したのではないか。コロシ(殺人事件)やタタキ(強盗事件)と違い、ホワイト・カラーや官僚、政治家によっておこなわれる贈収賄に類した事件は、捜査の手が当事者(とみられる人物)に迫った段階(つまり地検に呼び出されて事情聴取をされるなど)で、すでにその人物の社会的・政治的生命が重大な影響を受けるものである。・・・複雑な裏のある贈収賄事件の容疑者たちの存在をこうしたやり方でコロシ、タタキの犯人と...