1.問題関心
国家権力が結びついた特定宗教に国民生活が支配されるようになり、それに対する反発から世俗主義の徹底が求められるといった歴史を通して、EU諸国は様々な宗教政策を行ってきた。この章ではそうした政策の1つとして、次世代を担う人材を育成する場である公教育と宗教の関係を見ていく。
EUの宗教教育の具体的事例として、ここではフランスとイギリスを取り上げる。フランスは、公的空間から文化的差異を除去することで国民の同化を図る「統合型」国家である。一方イギリスは、公的空間でも多文化を許容する「並列型」 国家であり、フランスとは異なる原理で多様な民族・宗教を包摂しようしている。
公教育における宗教の歴史的背景や位置を明らかにすることで、各国家の宗教に対する態度・課題を考察したい。また、現代社会における宗教教育の可能性や、アジア統合に向けて日本は何が学べるのかについても触れたい。
2.ヨーロッパ教育の歴史的変遷
ここでは古代から近世にかけてのヨーロッパ教育の歴史的変遷を、宗教(特にキリスト教)との関係に着目して辿っていきたい。
2-1 古代の教育(B.C.10世紀-A.D.3
EUの宗教教育
1.問題関心
国家権力が結びついた特定宗教に国民生活が支配されるようになり、それに対する反発から世俗主義の徹底が求められるといった歴史を通して、EU諸国は様々な宗教政策を行ってきた。この章ではそうした政策の1つとして、次世代を担う人材を育成する場である公教育と宗教の関係を見ていく。
EUの宗教教育の具体的事例として、ここではフランスとイギリスを取り上げる。フランスは、公的空間から文化的差異を除去することで国民の同化を図る「統合型」国家である。一方イギリスは、公的空間でも多文化を許容する「並列型」 国家であり、フランスとは異なる原理で多様な民族・宗教を包摂しようしている。
公教育における宗教の歴史的背景や位置を明らかにすることで、各国家の宗教に対する態度・課題を考察したい。また、現代社会における宗教教育の可能性や、アジア統合に向けて日本は何が学べるのかについても触れたい。
2.ヨーロッパ教育の歴史的変遷
ここでは古代から近世にかけてのヨーロッパ教育の歴史的変遷を、宗教(特にキリスト教)との関係に着目して辿っていきたい。
2-1 古代の教育(B.C.10世紀-A.D.3...