民法答案 契約の原則系
Ⅰ 契約の拘束力
問題:契約の拘束力について、少なくとも次の四つの項目に触れながら論ぜよ。
(1)錯誤
(2)贈与
(3)事情変更
(4)委任契約の終了
答案
契約の拘束力とは「契約は守らなければならない」という原則を指している。契約の拘束力の根拠は契約を締結する当事者の意思に求められる。以下、契約の拘束力と(1)~(4)それぞれの関係について検討する。
(1) 錯誤との関係
契約は意思表示の合致により成立し、その拘束力が発生する。しかし、表示行為に対応した効果意思が存在せず、しかも、表意者がそのことに気付いていない場合、民法は当該意思表示を錯誤として無効にしている(民95)。
よって、錯誤による意思表示に基づく契約の拘束力は否定される。契約の拘束力の根拠が当事者の意思である以上、その意思に問題があるならば、契約の拘束力は否定される。
(2) 贈与との関係
贈与契約とは、ある者がある者に対して無償で財産を与える契約(民549)を言い、片務・諾成契約である。
本来、契約が成立した以上、拘束力が生じるため、債務者は債務を履行しなければならない。しかし...