第一審(平成14年 1月29日)
原告が携行していた写真集について、被告が関税定率法21条1項4号所定の輸入禁制品に該当する旨の通知をしたことに関し、原告が、同規定は憲法21条に反し無効であり、本件写真集は風俗を害する物品に当たらないから、本件処分は違憲、違法なものであるとして、被告に対し、本件処分の取消を求めるとともに、被告国に対し、国家賠償法に基づき、慰謝料等を求めた事案で、4号物品に関する税関の検査は、検閲に該当せず、明確性の要請に欠けるところもないから、同規定は違憲ではないが、本件写真集は、既に国内において芸術的書籍として流通しており、4号物品に該当しないから、本件処分は違法であるとして、請求の一部を認容した事例。
第二審(平成15年 3月27日)
わが国において既に頒布、販売されたわいせつ表現物がいったん国外に持ち出された後にわが国に持ち込まれたとしても、これを税関検査の対象として輸入禁制品に該当するか否かを審査することは税関検査の目的を逸脱するものではなく、本件写真集全体が関税定率法21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍」に該当するとして、原判決を取り消し、被控訴人...