日本における1960~70年代初期にかけての社会の現代的成熟と社会福祉の展開について説明せよ。
社会福祉とは、人びとの生活に幸をもたらす社会のシステムとして、現代社会に編成されたものである。
社会福祉の歴史において、1960~70年代初期は、経済の高度成長とともに社会福祉も発展をみせた。日本は1955年以降、経済の高度成長期をむかえた。高度成長が終焉するまでの間、社会の現代化をすすめる構造変化が一挙に進んだ。
高度成長期時代とは、1955年から1974年に国内総生産がマイナスに転じるまでの、約20年間をさす。日本の経済成長率は年率10%という驚異的なものであった。賃金生活者の割合は7割に達し、都市化の速度と農村の兼業化が進んだ。農村部は高齢化と過疎化で旧来の相互扶助が崩壊し、都市部は人口過密を呈し、住宅・教育・医療・交通などの生活基盤の整備が急務となった。この時期の問題点としては、①都市の生活基盤が高齢者や障害者の生活を置き去りにする結果をもたらしたこと。②工業地域に生じた公害問題による生存と環境の関わり。③広範囲の生活関連施設の立ち遅れに、農村部では人々の生活の孤独化を深め、都市...