「学歴社会とは何かを明らかにし、高学歴化が進行すると教育はどのように変化するのかについて学力の視点から述べよ。」
「学歴社会」という言葉は、一般的にはあまり良いイメージをもたれない。親は有名大学に合格することが、子どもたちの幸福な人生を保障すると信じ、また教育現場も「受験地獄」や「偏差値至上主義」といった状況に置かれてきた。実際、有名大学卒業者の多くが一流と呼ばれる企業や官公庁のキャリアへと就職する。しかしながら、一流企業でも経営不振となり、リストラや倒産といった事態が起こっている。また、有名大学を卒業し、一流企業に就職した社会的地位が高いとされてきた人たちが、会社で働き続ける意欲を失ったり、高学歴の官僚や政治家が汚職や過ちを犯したりして職を失うケースもある。逆に、高学歴でない人物が社会的に大きな功績を成し遂げると、世間の人々は拍手喝采し、高学歴でなくても立派な人はたくさんいると言われるケースもあり、教育や社会が進むべき方向として、学歴社会は良くない社会だと言われるようになったのである。
しかしながら、教育現場や社会の中で起こってきた不祥事を、あたかも教育界を中心とした学歴社会が...