キリスト教の近代は、まさに変わりゆく世界との「対決」の時代であったと言える。
かつて、教会が絶大な権力を握り、ヨーロッパ全体もまたキリスト教を土壌として飛躍的な発展をとげた中世の時代には、人々にとってキリスト教と神の存在こそが政治・生活・風俗全ての土台であった。しかし、近世になるにつれて、ルネッサンスによる古代ギリシア・ローマ的な人間中心の世界観への回帰、啓蒙主義による人間本来の理性を本質とみなす風潮への変化がなされるようになり、その結果、民衆生活における宗教の影響は次第に後退していった。そして、市民革命・産業革命の波と同時に訪れた「近代」によって、生活と宗教の密接な関係はますます薄れていった。なぜなら、市民革命は、キリスト教を根拠として守られた王権による支配の時代の終焉と、市民・法による支配の時代の到来をもたらし、また、産業革命と近代諸科学の発達は、聖書の神による世界創造の世界観への否定をもたらす結果となったたからである。
近代のキリスト教が第一に直面したのは、宗教と国家の分離だ。啓蒙思想の影響によって、ものごとの価値観の主体は神から人間へと移り変わり、かつて一体であった国家と宗教...