終末期(ターミナル期)
1.終末期(ターミナル期)とは
終末期(ターミナル期)とは、いかなる治療によっても、治癒に導くことが困難であり、死が不可避である時期のことであり、通常、生命予後が6か月以内、とする考え方が主流である。ターミナルという言葉は、ラテン語のterminus(境界)を語源とするとされている。私たちが生きるこの世と、あの世との境を意味する言葉である。ターミナルという言葉は、終末期、末期と訳されることもある。
1)終末期のケアが注目される背景
(1)医療技術の発展による長寿社会、健康志向社会
高度医療の進歩や乳児死亡率の低下により、わが国では高い平均余命が得られている。日本人の平均余命は、世界でもトップクラスである。このような高齢社会を迎えた日本では、老年期まで生きることが一般的なこととなっている。
長く生きることは、加齢に伴う各種機能障害とつき合いながら生きることになる。たとえば、加齢に伴い増加する疾患として、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、あるいは癌などの疾病がある。疾病に伴う各種機能障害、たとえば、脳血管疾患後の片麻痺による運動機能障害、胃癌手術後の消化・吸収機能障害...