「モニター・モデル(Monitor Model)」とは、クラッシェン(Krashen)とテレル(Terrell)の両者が提唱した「ナチュラル・アプローチ(Natural Approach)」と呼ばれる第二言語習得のための5つの仮説である。以下はその概要である。
1)習得―学習仮説(The acquisition-learning hypothesis)
→言語能力の獲得過程を「習得(Acquisition)」と「学習(learning)」をはっきり区別し、コミュニケーション能力は無意識の「習得」によって得られ、意識的な「学習」は補助的な役割しか果たさないとしている。だが、どうして「学習」と「習得」の関係が独立しており、無関係だと言えるのだろうか。また、「学習」した言語知識と「習得」した言語能力をどうやって区別するのだろうか。クラッシェンはこの命題に対する根拠を示していない。
2)モニター仮説(The Monitor hypothesis)
→学習者が文法などの規則性がわかっていて、ある程度の学習時間が与えられている場合、学習者は自分が発話したり書いたりした文を「学習」した知識でチェック...