社会福祉(学)と社会調査は際めて密接な関係に有りながら、その学問と調査の関係は経済学や社会学などの学問分野の「理論」と「実証」という関係はやや異なっている。
社会福祉は社会調査を通じて得た知見を踏まえ、現実の実践・活動・技術・政策・制度などを展開しようとする傾向にある。社会調査を通じて社会福祉自体の有り方が形作られてきた。もともと社会福祉とは、貧困生活が激増した産業革命期のロンドンにおいて、彼らを救済しようとする周囲の民間人の「善意」が生み出したものである。この「社会福祉の起源」において産業革命期の16から18世紀のイギリスでは、領主や富農による農地の「囲い込み(エンクロージャー)」という行為が行われた。これにより、それまでの共有地での共同体的な農業生産を不可能にし、生活基盤を失った小作農たちが追い出された。かれらは生活のために離村し都市にながれるしかなく、これが超低賃金で過酷な労働を強いられる都市労働者、あるいは食を確保できない浮浪者の急増と引き起こした。この貧困問題を背景に成立したのがエリザベス救貧法(1601年)及び新救貧法(1834年)である。そもそも共同体内で仕事にありつけ...