佛教大学英米文学科A合格レポート
「学習指導要領の変遷について」
道徳そして道徳教育とは何であろうか。テキスト中の日高六郎氏の言葉を借りれば、「道徳は社会規範の一つ」であり、道徳教育は「一定の社会において、それぞれの支配的価値観にもとづいて、意識の形態を形成し、行動の様式や性格を育てることを目指しておこなわれる道徳を道徳教育という」とある。このように、学校を中心として、子どもの行動の発達や性格の形成を主として目指すためにおこなわれるものである。欧米においては、キリスト教中心の教育で、家庭や教会で地域社会の慈善的活動などを通じて道徳教育を行ってきた。ここでは、学習指導要領の変遷を見ながら日本における道徳を論じていきたい。
江戸時代より藩校・私塾・寺子屋において、儒教や佛教または神道に基づいた倫理観を形成していた。しかし、明治初期になると欧米諸国のように宗教を道徳教育に取り入れず、宗教教育と決別している。大正から昭和初期にかけては、孝行、忠義といった臣民として守らねばならぬ儒教倫理が出てくる。そして、昭和には軍国主義が影を落とし道徳教育は国民教化の手段で、国民を締め付ける道具になってしまったのである。二次大戦後に教育基...