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1.権利濫用の概念
民法第1条には、「私権は、公共の福祉に適合しなければならない。」第2項には「権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と記されている。
つまり、①権利の内容は公共の福祉に適合する。②権利の行使は信義に従い、誠実に行う。という2点が民法における基本原則である。
権利の濫用とは、外形上権利行使のように見えるが、この基本原則に外れていて正当な権利行使とは言えないものの意味であり、これは、民法第1条3項に「権利の濫用は、これを許さない。」と定められている。
権利濫用の概念は、19世紀のフランスで判例法として確立された。その後牧野英一氏らにより日本に導入された。
最初に権利濫用の法理が実質的に採用された事件は信玄公旗掛松事件(大判大正8年3月3日民録25輯35 6頁)であるが、「権利の濫用」が概念として初めて用いられたのは宇奈月温泉事件(大判昭和10年10月5日民集14巻1965頁)においてである。
権利濫用の概念は20世紀に入り重要な法理となったが、日本では戦後の民法改正(昭和22年法律第22 2号による追加)で初めて民法1条3項とし...