日本における学校体育の位置付けは、歴史とともに変化してきた。本レポートでは、学校における体育教育の在り方、考え方が歴史とともにどのように変わっていったのかを見ていく。そして、今日における子ども達の身の回りの生活環境が身体にどのような影響を与え、彼らの健康を向上させるために体育はどうあるべきであるかを考えていきたい。
まず、日本の学校体育の変遷である。明治5年に学制が公布され、日本の近代教育は始まった。体育は「体術」とし、保健は「養生法」とされたこの頃は、具体的な教育内容については整備されておらず、体術はヨーロッパの体操の影響を多分に受け、内容は陸軍の体操の要素が多かった。学制廃止後の、明治24年『小学校教則大綱』によって学校制度が確立されたが、内容は国勢に大きく影響され、国を守る精神と実力をつけるため、兵式体操が大きな位置をしめていた。しかし、そのような中でも、真の体育を確立しようという努力はあり、スウェーデン体操が紹介や、遊戯やダンスが取り入れられた。この頃、文部省と陸軍省での意見の対立が起こった。文部省は、軍事的な兵式体操と、それまで行われていた徒手体操や器械運動を区分して考える...