わが国における最初の精神障害者の保護に関する法律は1900年の精神病者監護法である。その内容は、主に治安の要請のために精神障害者の私宅監置室、公的監置室または精神病院での隔離、監禁を親族に義務付けるものであった。
しかしながら特に私宅監置室の悪弊が指摘されるに従い、1919年、各都道府県に精神病院の設置を義務付ける精神病院法が制定された。
第二次世界大戦以後、精神障害者の保護の必要の自覚から、精神病者監護法、精神病院法が廃止され、精神衛生法が成立する。この法律では精神障害者を原則無能力とし、自傷他害の恐れの有る精神障害者に対する措置入院、保護者の同意による同意入院の2つを主な入院法として定めた。
1987年、精神病院の劣悪な環境が明るみに出たこと、そして国際的に精神障害者の人権保護が十分でないと指摘を受けたことを契機に、精神衛生法は改正され、名前も精神保健法と改称された。この法律では精神障害者自らが自身の治療について決定しうる権利を原則的に持つことを承認すべきとし、任意入院が原則とされた。非自発的入院については、精神保健指定医2名の診断に基づき都道府県知事の命令でなされる措置入院...