所有権の絶対性について、権利濫用に関する判例を用いて説明しなさい。(A判定・1995文字)

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    私的所有 所有権 権利行使 信玄公旗掛け松事件 権利濫用 主観的評価基準 客観的評価基準

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    民法経営

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    わが国は、明治時代以後主要な生産資本である土地や生産財を含むすべての財産について、原則として私的所有を認めている。私的所有は、わが国の財産法体系の基本をなしており、国民の所有する財産に対しては、憲法上も民法上もこれを保障する規定がおかれ、所有権は物に対する全面的・包括的支配権であるとされている。したがって、所有権者は自己の所有物に対して絶対的な支配権をもつことができ、原則として、その自由な意思に基づいてこれを使用・収益および処分することができる。
     しかし、他方において憲法は「正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」とする規定をおき、民法206条も所有権が法令の制限を受けることがある旨を定めている。このことは、権利をその主体たる個人に帰属させ、その意思によって自由に使用・収益・処分させることを意図する私的自治の原則のもとでも、権利の行使は、絶対的ではなく、一定の制限を受けることを示している。ただ、その制限の具体的内容は、法律が定めている場合もあるが、民法上の権利一般に関して抽象的に制限されているにすぎない。したがって、権利行使の限界をどのように判断するかが問題となる。
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