2012年度課題レポート・労働法2のものです。
題:採用内定取消しの適法性
序
学生XはY社の一方的な事情により採用内定を取消された。また、Y社はXに対して何ら詳しい説明をしていない。この点、Xは如何なる法的救済を受けることができるか。
本稿はまず採用内定の法的性質について考察し、次にその取消しの適法性を述べ、最後に本事例におけるXに対する法的救済を考察する。
第一章:採用内定の法的性質
そもそも採用内定に如何なる法的効力があるのか。Xの法的救済を考察する上で重要であるため、本章で検討する。
この点、採用内定の法的性質について、内定から正式採用までの一連の手続全体が労働契約締結の過程であると捉え、内定は当事者を拘束せず信義則上の義務を生じさせるに過ぎないとする締結過程説(1)、及び内定は単に卒業後に労働契約を締結すべき旨の予約であるとする予約説(2)が主張された。
尤も、採用内定が不当に破棄された場合両説によれば民法上の損害賠償責任請求(民法415条)しかできない。但し、締結過程説では労働契約がそもそも締結されていないため右請求すら困難とも思える。また、内定者の主要関心たる労働契約上の地位...