日大通信教育部 合格リポート
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哲 学
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紀元前、ギリシアのアテネ市民に弁論術や処世術を教えることによって収入を得ていたソフィストと、古代ギリシアにおける偉大な哲学者の一人であるソクラテスの、現代にも通用する倫理思想と気高い精神を考察する。
紀元前5世紀後半、ペロポンネソス戦争でスパルタに敗れたアテネにソフィストと称する遍歴教師達が集まってきた。彼らはアテネ市民に初期ギリシア哲学を通俗化して教え、「絶対的な真理や善などない」と考えた。その中でも代表的人物はプロタゴラスとゴルギアスで「万物の尺度は人間である」と説き、すなわち彼らは、あくまで真理は主観的・相対的なものであり、人の数だけ真実があると考えた。特に若者達を新知識によって啓蒙する働きをし、単なる相対主義ではなく、政治参加するアテネ市民の基礎となる教えを説いた。
ところが金銭と引き替えに知識を売るうちに次第に墜落し、若者達にアピールする過激な思想を売り物にしたり、演説のための弁論術や相手を議論で打ち負かすための論争術、さらには詭弁を教えるようになっていった。
ソフィストにとっては何が真実で...