第2設題 医療をめぐる法律問題について
序
現代における医療をめぐる法律問題は、患者と医師の関係と、医学の急速な進歩により生じる問題との2つに大きく分けられる。本論においてはまず(1)医師と患者の権利義務関係について述べ、次に(2)患者の自己決定権について述べることとする。さらに(1)(2)に関して起こる(3)医療過誤問題の問題点、最後に医学の進歩により生じてきた問題として(4)生と死に関する法律問題について考察することとする。
本論
(1)医師と患者の権利義務関係について
我が国における従来の医療は恩恵的な色彩を帯びており、これを反映して医師と患者の関係もまた医師の権威主義の影響の下にあった。しかし近年における医療の高度化、複雑化、分業化、産業化や患者数の増大に伴う診療時間の短縮などを契機として、医療のゆがみや医師患者関係の希薄化が語られるようになってきた。また、都会における病院、診療所の集中による経営としての医療も関係し、それらの問題を解決するために医療における患者の主体的地位を尊重することにより、患者の適切な医療を...