読書感想文、夏目漱石、『それから』、dokusyokansoubun
夏目漱石『それから』を読んで
「彼は元来どっち付かずの男であった」
主人公代助は、学校を卒業してから働くこともなく、(30)になるまで経営者である父と兄の支援を受けながら、思索の生活を送っていた。一軒家に住み、時々は兄嫁と芝居に見に行くのを突き立ったりと不満のない生活を送っていた。父も兄夫婦も代助が早く嫁を貰ったほうがよいと言及する意外は何一つ不満を言わなかった。どっちつかずの代助もこればかりは断り続けていた。
こうも代助が結婚を断る理由は、大阪から戻ってきた平岡夫婦が原因であった。学生時代からの仲の平岡夫婦は平岡(夫)の失業で東京に帰ってきていた。かつてこの夫婦の仲人を務めた代助だったが、東京に帰ってきた平岡夫婦はかつてのそれではないということを悟った。ある日妻三千代は金の相談のために百合の花を持って代助を訪ねてきた。その花はかつて三千代が女学生で代助と平岡が大学生だったころの記憶を思い出させる花である。代助は訪ねてきた三千代に「この香りは実は好きでない」と言った。金は工面できたのだが、肝心の平岡は新聞のために家に帰らない事が多くなる。ある日、代助が三千代を尋ねるとやはり平岡の姿は...