「戦後の社会福祉の展開と今日の課題について述べよ。」
〈1945年(戦後)から1950年代後半まで・戦後の復興と福祉の近代化〉
1945(昭和20)年8月に、わが国はポツダム宣言を受諾し、第2次世界大戦に敗戦した。敗戦直後の日本は、食料、住宅、物資が不足し、約800万人の生活困窮者を生み出した。戦災者、失業者、浮浪者などの生活苦の人々を救済することが、戦後の日本の課題となった。
戦後、わが国は、連合国総司令部(GHQ)の指令、勧告のもとに民主政治を行わなければならなくなり、次々と民主化政策が打ち出された。戦後の社会福祉も、同様に、GHQの指導下で始まった。日本の「福祉国家」「福祉社会」の建設はここから始まる。
1945年12月、日本政府は「生活困窮者緊急生活援護要綱」を打ち出した。しかし、この援護要綱には、救済を「恵み」と考える、戦前の日本の福祉に対する古い考えが色濃く残っており、根本的な解決には至らなかった。そのため、GHQは公的扶助の原則として「社会救済に関する覚書」(福祉4原則)を示し、日本の以後の社会福祉体制を方向づけた。
福祉4原則とは、①無差別平等の原則(困窮者す...