佛教大学M6108「日本漢文入門」の第二設題レポートです。
A評価を頂いております。
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万葉集における「七賢」について概説せよ。
『万葉集』は現存する最古の和歌集である。
奈良時代初期からその編纂が始まり、奈良時代末から平安時代初頭の八世紀後半に成立した。編者は未詳とされているが、編纂過程の最終段階には大伴家持が関係していると考えられている。
この『万葉集』の歌人に大伴旅人という人物がいる。大伴家持の父である彼は筑前守の山上憶良らと親交し、いわゆる「筑紫歌壇」を形成することになる人物である。
大伴氏は古来武門の家柄として知られた名族であり、旅人もそうした父祖の血筋を受け継ぎ、中央政界で重きをなす存在だった。しかしながら、新興勢力である藤原氏の圧迫を受けるようになり、太宰師として筑紫に下った。そのとき彼は六四歳であり、事実上の左遷を受けることとなった。高齢の身で遠く都を離れた彼は奈良に再び帰ることが叶わないのではないかという思いを抱いていたであろう。
旅人は望郷の念を詠んだ歌を数多く残しているが、彼にはそれとは全く別の側面がある。「旅人の本質は、むしろ文雅の世界につよく傾倒した教養ある知識人、ないしは趣味人としての在り方のなかに現れている」。ここでいう文...