「現代社会におけるカウンセリングの必要性について整理し、教師や保育士には何が必要かを述べよ」
我が国の社会状況は戦後大きく変化した。共同社会が解体し、多くの人々は、生活、孤立、競争等の不安にさらされ、燗熟した文明が拍車をかけて、さらに漠然とした不安の中におかれ、自分が立つ安定した基盤、生活の大地が失われている感覚にさいなまれている。その様な現代社会において、人々は悩みや様々な問題を、容易に相談できる地域社会での相手が見つからないという状況が生まれている。カウンセリングが必要とされるのはまさにこうした点にあるのである。カウンセリングは対話による自己発見という、人間の基本的な営みである。また、カウンセリングとは広い概念であり、何らかの問題を抱えた人(クライエント)に対する援助のあり方の総称であり、クライエントの全人格、生命的自己実現機能を促進させる技法のことである。
カウンセリングという名称で心理学的実践が始めて成されたのは、心理テストに基づいた助言指導・職業指導においてであった。1931年にカウンセリングという言葉が始めて文献に登場しており、第一次世界大戦を経て専門的心理テストが発...