このレポートでは法律行為における登記と、抵当権およびそれに基づく物上代位について考察しています。
※このレポートは以下のレポートに収録されているものと同じ内容です。
慶応義塾大学法学部(通信)合格レポート集
http://www.happycampus.co.jp/docs/938478183489@hc15/122970/
■新・物権法
はじめに
このレポートは二部構成となっており、第一部の「法律行為の取消しと登記」では、主に「取消し後の第三者」に関するふたつの有力な学説を説明し、双方に見える特色を比較していく。第二部の「抵当権に基づく物上代位」では、その物上代位の要件たる「差押え」に関して三点の学説について論じていく。そして結びに代えて、本レポートで取り扱った上記二つの論点における共通点を示すことを、レポートとしての総合的な目的とした。
第1部 「法律行為の取消しと登記」
1.問題点
「法律行為の取消しと登記」において問題になることは次のような事例である。すなわち、A→B→Cへと譲渡された不動産について、AB間の契約がAによって取消された際に、第三者Cの立場がどのようになるのかが問題となっている。
2.取消し「前」の第三者
一般に「強迫」などによる取消し前に現れた第三者Cについては、取消しの遡及効が貫徹するために、Aは登記なくして取消しを主張できるとされている。
しかしその取消し原因がBによる「詐欺」であった場合は事情が異なる。すなわち第三者Cが善意であったならば、Cには民法96条3項よる第...