アルコール依存症
アルコール依存症(アルコールいそんしょう、アルコールいぞんしょう、英:
Alcoholism)、アルコール使用障害(Alcohol use
disorder、AUD)とは、主に飲酒による「アルコール摂取で引き起こされる薬物依存症の一種。飲
酒によって得られる精神的、肉体的な薬理作用に強く囚われ、自らの意思で飲酒行動をコントロー
ルできなくなり、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神障害である。以前は慢性アルコール中毒(アル
中)、慢性酒精中毒などと呼ばれていたこともある。人体に対するアルコールの影響について最初
に体系化されたのは1849年で、スウェーデンの医師マグヌス・フス(スウェーデン語版)による。
症状は精神的依存と身体的依存から成り立っており、飲酒が自分の意志でコントロールできなくな
る症状を精神的依存、振戦せん妄などの退薬症状(アルコール離脱症候群、リバウンドともいう)
を身体的依存と言う。患者は、アルコールによって自らの身体を壊してしまうのを始め、家族に迷
惑をかけたり、様々な事件や事故・問題を引き起こしたりして社会的・人間的信用を失ったりする
ことがある(アルコール乱用)。
かつては、このような状態になってしまうのは本人の意志が弱く、道徳観念や人間性が欠けている
からだとの考え方で済まされて納得されてきていたが、最近では社会的な必要性からも医学のカバ
ーする範囲がより拡大されていくことに伴って、医学的見地から精神障害の一つとして治療を促す
対象と考えられている。
世界保健機関(WHO)は、アルコール乱用・依存の未治療率は78.1%であると推定している(2004
年)。精神疾患の中でも罹患率が高く、各人の性格や意志にかかわらず誰でもかかる可能性がある
病気であるとも言える。日本の飲酒人口は6,000万人程度と言われているが、このうちアルコール
依存症の患者は230万人程度であると言われている。なお、この230万人という人数はWHOの算出
方法により割り出されたものである。
治療法や支援法については「アルコール依存症#管理」を参照。