児童虐待の増加要因の分析および市町村における児童虐待対策について

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    資料紹介

    【概要】
    本レポートでは、児童虐待が増加し続けている要因をデータや制度から概観し、児童虐待対策における市町村の役割について述べる。

    【目次】
    1.データや制度から見る児童虐待に関する相談対応件数増加の要因
    2.児童虐待対策における市町村の役割

    【引用・参考文献】
    ① 児童福祉法
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82060000&dataType=0&pageNo=1
    ② 児童虐待の防止等に関する法律
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv22/01.html
    ③ 平成29年度児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値>
    https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000348313.pdf
    ④ 平成30年版厚生労働白書-障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に-
    https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/
    ⑤ 栄留(2009)『市町村行政における児童虐待防止対応の課題~子どもの人権の視点に立った家族援助とは~』大阪府立大学「人間問題研究」9号.25-41
    ⑥ 高橋、石黒(2017)『増加する児童虐待と学校教育―ソーシャルワーカーの省察より―』鳴門教育大学研究紀要第32巻
    ⑦ 馬場(2017)『市町村における児童虐待対応の課題一要保護児童対策地域協議会に関する先行研究レビューよりー』龍谷大学大学院研究紀要社会学・社会福祉学 (23), 49
    ⑧ 田中(2011)『社会問題としての児童虐待──子ども家族への監視・管理の強化──』教育社会学研究第88集
    ⑨ 社会福祉士養成講座編集委員会(2019)『児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度 第7版 (新・社会福祉士養成講座)』中央法規出版

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    1.データや制度から見る児童虐待に関する相談対応件数増加の要因
    平成29年度(速報値)では、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は133,778件であり過去最多となっています。また相談対応件数は一貫して増加し、平成2年度の1,101件から10倍以上に膨れ上がっています。
    主な増加要因としては、心理的虐待に係る相談対応件数の増加、警察等からの通告の増加が示されています。心理的虐待については、虐待相談の内容別件数においても54.0%ともっとも多くの割合を占めています。
     相談対応件数が増えている点についてはいくつかの原因が考えられます。
    1点目は、田中(2011)が「児童虐待は,定義の変更,対象の拡大を経て概念を拡張させてきた。」と述べている通り、数度の制度改正により児童虐待の対象が拡大されたことも件数に影響していると考えられます。
     2点目は、それ以上に児童福祉法第25条および児童虐待防止法第6条において「虐待に関する通告義務」が国民に課されるようになったことも相談対応件数が増加した理由と考えられます。加えて近年では子どもの命が奪われるような重大な虐待が発生し、世間の関心...

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