【日大通信】西洋思想史Ⅱ 分冊2【2019~2022年度】

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     まずはキルケゴールの思想についてまとめる。キルケゴールの主著は『死にいたる病』、『不安の概念』、『あれか、これか』であり、実存主義の先駆けとされている。キルケゴールは、真実の自分のあり方を実存と呼び、実存はいかなる他人とも異なるただ一人の例外者であるとした。また、彼は実存を三段階に分け、それらの段階ごとに人生が深まっていくと考えた。まず一段階目は美的実存の段階であり、人は欲望に身を任せた刹那的な生活を送る。しかし快楽の連続に退屈と虚しさを感じ、二段階目の倫理的実存に至る。しかし、ここでは倫理的な義務を果たそうとするが、自らの道徳的な不完全さや良心の責めを思い知らされ、次の段階へと至る。三段階目の宗教的実存の段階では、自分の無力さや罪深さに絶望しながら、ただ一人神の前に立つ単独者となる。彼はこの段階で無限なる神と向き合う信仰の中に本来の実存を求めた。
     次にニーチェの思想についてまとめる。ニーチェの主著は『ツァラトゥストラはこう語った』、『善悪の彼岸』、『権力への意志』であり、キルケゴールと共に実存主義の先駆者とされている。ニーチェは19世紀のヨーロッパは伝統的な価値観や権威が崩れ落ち...

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