渉外事件を規律するにあたり、国内(法定地)実質法が適用されるのは、どのような場合か。
1 各国は独自の国際私法(抵触規範)を制定しているが、我が国の国際私法(適用通則法)は、我が国の裁判所が管轄権を有する場合に適用される。渉外事件の実体問題には、統一法がなければ常に日本法を適用してよいわけではなく、国際私法(適用通則法)に従い準拠法を決定することとしている。
日本で裁判を行う場合、訴えの提起を受けた裁判所は、自らが当該事件につき裁判権を有しているかを審査し、裁判権がなければ訴えは却下される。
次に、国際的裁判管轄権の有無の確認、当事者能力及び訴訟能力の有無の確認、当事者適格の有無の確認等、各種訴訟要件の審査が続く。各争点につきその都度法源が確認される。
準拠法には法律関係について定める実体法(例えば民法や会社法)と、その実現に必要な手続について定める手続法(例えば民事訴訟法や民事執行法)が含まれる。
実体法上の権利の有無を確認する過程では、当初から国内渉外実質法の適用が全面的に留保されている場合と内外国法等価値原則のもとに準拠法選択が行われる場合、これらがまず区別されなければならない...