(1) 民事訴訟における当事者とは、訴え又は訴えられることによって、判決の名宛人となる者(形式的当事者概念 民訴法115条1項1号参照)のことである。また、必ずしも審判対象となっている権利義務の帰属者である必要はない。当事者になることができるのは、当事者能力を有する者である。当事者能力とは、原則として民法その他の法令により定められている権利能力とほぼ同義であり(民訴28条)、権利義務の主体となり得る法律上の地位・能力を指す。出生してから死亡するまで、全ての自然人や、法人(民法1条の3、2条、34条)のような実体法上の権利能力者は、権利義務の帰属主体であり、それをめぐる紛争につき当然訴訟が予想されるから、当事者能力が認められる。法人には、一定の目的のために捧げられた財産に対して権利能力を付与されたものである(43条)。
また、相手方及び団体構成員の便宜、手続運営の便宜の趣旨から、法人でない社団・財団(同好会、学会、設立中の会社等)でも団体性がある場合には当事者能力が認められる(民訴法29条)。すなわち、前記社団に当事者能力を認めないと、相手方は全構成員を被告とせねばならず、また、社団側...