私は、分かりやすく親しみやすい展示にするためには、作品の持っている情報を効果的に鑑賞者に伝えることが重要な要素のひとつだと考える。実際、美術館では展示をより深く理解するための様々な工夫や解説プログラムが多く提供されている。音声ガイドによる解説も最近は珍しいものではない。私自身は美術のジャンルの中では現代美術に最も興味を持っているが、特に多種多様な表現方法をもった現代美術の鑑賞においてはそういった解説がより必要になってくるのではないだろうか。ここでは美術館での効果的な解説について考えてゆく。
親しみやすい展示にするためには
私は、分かりやすく親しみやすい展示にするためには、作品の持っている情報を効果的に鑑賞者に伝えることが重要な要素のひとつだと考える。実際、美術館では展示をより深く理解するための様々な工夫や解説プログラムが多く提供されている。音声ガイドによる解説も最近は珍しいものではない。私自身は美術のジャンルの中では現代美術に最も興味を持っているが、特に多種多様な表現方法をもった現代美術の鑑賞においてはそういった解説がより必要になってくるのではないだろうか。ここでは美術館での効果的な解説について考えてゆく。
まず、作品には固有の情報(作者、タイトル、年代、技法など)と関連情報(時代、社会背景、流派、運動など)があり、作品にこれらの情報が伴って鑑賞や理解や評価へとつながる。一般的に固有の情報はキャプションによって表示され、関連情報は解説パネルなどに表示される。これらの情報は文字による情報であり明示的情報であるが、他にも作品の配置などによる非明示的情報もある。これは、「どこに」「どのように」「どの順で」展示するかによって、作品の重要性や文脈などを示すものである。また、美術...