「明治天皇・乃木希典・石田伝吉-日本・近代史」
まず始めに、この三人に共通する生きた時代は、「明治」と言われた時代である。明治とは、明治天皇在位の年号であり、1868年9月8日から1912年7月30日までを言うが、この「明治」へと移り変わる中、日本ではさまざまな変遷があった。徳川慶喜が政権を朝廷に返上した大政奉還、武家政治の廃止、地租改正、秩禄処分、廃藩置県などを含む、明治維新と云われる、天皇を中心とする新政府を成立させる動きがあった。
明治天皇の皇位継承は、この明治維新とほぼ重なり、近代国家建設の象徴的存在として期待された。1887年には、大日本帝国憲法の発布により、名実ともに立憲君主となり、緊急勅令、官制の制定、文武官の任免、宣戦・講話・条約の締結や、軍隊の最高指揮権などの、大権を有する存在となった。こうした国家体制とともに天皇を絶対君主とした日本は、海外への進出を始めていった。
1894年八月一日、清国への宣戦の詔勅がだされ日清戦争が開始し、つづいて、1904年二月十日には、日露戦争が始まった。
日露の戦いにおいて勝利した帝国日本は、列強に肩を並べ、世界の「一等国」となる。...