1.Bは満期後に本件手形を白地式裏書によりCに譲渡した。満期後の裏書は満期前の裏書と同一の効力を有するが、支払拒絶証書作成後又は作成期間経過後になされた期限後裏書は、流通証券としての手形の機能がないため、指名債権の譲渡の効力のみを有する(手形法20条1項)。そこで、裏書の時期に応じて、本事例を論じる。
2.本件裏書が支払拒絶証書の作成又は作成期間経過以前に行われた場合
この場合、満期前の裏書と同一の効力を有することとなる。
本事例では、CがAに対して手形金支払いを求めて提訴したが、当該白地式裏書による譲渡は、Cによる偽造であるとして支払いを拒絶した。
ここで、手形法は、手形に資格授与的効力を認めている(16条1項、77条1項1号)。これは、手形の記載上被裏書人となっている者が手形を所持していることで、その者が手形上の権利者であるとの蓋然性が高いことに法が注目して、手形における権利行使の簡便さと流通性を確保するために、手形の記載上被裏書人たる者が手形を所持していれば、その者に手形上の権利者たる資格を認めたものである。
それでは、手形法16条1項に基づきCが手形上の権利者として認めら...