銀行の秘密保持義務とは文字通り、個人情報を外部に漏らすことなく保持し続ける義務を言う。ある銀行に勤務している社員がその銀行の内部情報を秘密にする義務ではなく、主体は銀行であり対象は個人のプライバシーに関するものである。ところでこの秘密保持義務を銀行に求める理由は何なのだろうか。如何なるものが犯罪かを規定している刑法によると、確かに秘密を漏らした者を処罰する旨が明記されているけれども、その主体は限定されており、銀行は含まれていない。このことからすると銀行が秘密保持義務を負わなくてもよいと導くことができるけれども、銀行に秘密保持義務を求めているのが現状である。
これについては、個人のプライバシーが重要視されたからである。つまり、社会関係が複雑化し、科学技術が異常な発達を遂げたことによって、個人の私生活が公衆の関心の対象になることが多くなり、そのため、個人の私生活を保護することが重要となり、その必要性も認識されるようになったからである。今や異常に発達したマスコミの宣伝によって、プライバシーが保護されるということは周知の事実となっている。
企業法特講(金融法務入門)
~銀行の秘密保持義務について~
銀行の秘密保持義務とは文字通り、個人情報を外部に漏らすことなく保持し続ける義務を言う。ある銀行に勤務している社員がその銀行の内部情報を秘密にする義務ではなく、主体は銀行であり対象は個人のプライバシーに関するものである。ところでこの秘密保持義務を銀行に求める理由は何なのだろうか。如何なるものが犯罪かを規定している刑法によると、確かに秘密を漏らした者を処罰する旨が明記されているけれども、その主体は限定されており、銀行は含まれていない。このことからすると銀行が秘密保持義務を負わなくてもよいと導くことができるけれども、銀行に秘密保持義務を求...