①取消訴訟とは、行政庁の処分や裁決に対して不服がある場合、その取消を求める訴訟(行訴二条・三条)で、処分・裁決のどちらか一方でしか取消を求められない(行訴十条二項)。裁判は、処分等を行った行政庁の所在地を管轄する裁判所に属する(行訴一二条一項)。但し、国や独立行政法人が被告の場合、特定管轄裁判所でも可能(行訴三項、四項)。訴訟は、法廷期間内に提起し(行訴一四条一項)、法廷形式を備えた訴状により(行訴七条、民訴二二二条~二二四条)開始できる。但し、審理請求前置主義が働く場合は、その裁決があるまで取消訴訟は原則中止となる(行訴八条三項)。
裁決取消訴訟の場合は行政庁の裁決等の行為が対象となる(行訴三条三項)が、処分取消訴訟の対象は、「行政庁の処分その他公権力行使に当たる行為」(行訴三条二項)で、裁決等の行為は除く。処分取消訴訟の場合、処分性の有無が重要になる。判例では、「直接的に特定の権利利益に拘束を加える法規命令」(東京地判昭四八・五・二二行裁例集二四巻四・五号三四五頁)など、公権力行使で直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものについて、処分性有りと...