HAPPYCAMPUS予想時事問題
※本レポートの目的は、学習情報共有として提供しております。最近の国際及び日本の重大になっているニュース記事を中心にまとめておきました。是非、ご活用ください。
【政治】 原子力規制委が発足 再稼働の新基準は年明けか
朝日新聞 2012年9月20日
新たに原発の安全規制を担う原子力規制委員会が19日に発足した。今後、新しい安全基準や事故が起きた場合の原子力防災指針などをつくる。野田政権は「2030年代の原発ゼロ」を目指す一方、原発は「重要電源」として再稼働する方針。規制委は原発の安全性を確認する役割を担うが、再稼働の是非をだれが、どのように判断するのかは決まっていない。
野田政権が「原発ゼロ」方針を盛り込んだ革新的エネルギー・環境戦略には、停止中の原発について「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」と明記された。現在は全国の原発50基のうち、関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機だけが稼働している。
大飯原発の再稼働では、ストレステスト(耐性評価)を踏まえ、暫定的な安全基準をもとに野田佳彦首相や細野豪志環境相ら関係閣僚だけで再稼働を決めた。この際には電力需給を検証し、地元自治体の同意も条件とした。ただ、この手続きは法的に定められたものではない。
原子力規制委の委員長に就任した田中俊一・前内閣府原子力委員長代理は19日の記者会見で、暫定的な安全基準を見直す考えを示したうえで、「できるだけ早く見直しを図りたいが(年内は)難しいかもしれない」と指摘。新しい安全基準ができるのは来年以降になる見通しを示した。冬に電力需要が高まる北海道電力泊原発(北海道泊村)の再稼働の是非の判断は、先送りされる公算が大きい。
一方、安全性が確認された原発の再稼働の判断について、藤村修官房長官は19日の記者会見で「どういう基準を設けるかは、今からの話だ」と語った。再稼働を決定する仕組みづくりは今後の課題になる。
規制委は、原発を推進する経済産業省から規制部門の原子力安全・保安院を切り離し、内閣府原子力安全委員会などとともに一元化した。東京電力福島第一原発事故で批判を浴びた「原子力ムラ」のもたれ合いの構図を断つ狙いだ。環境省の外局で、公正取引委員会と同じ国家行政組織法3条に基づく「3条委員会」として独立性を担保。事務局の原子力規制庁は、保安院や安全委などからの異動で460人体制で発足した。
原子力防災担当の兼任が決まった細野氏は19日の記者会見で「世界で最高レベルの厳しい規制など重要な任務を担う。独立した委員会だが、政府全体でサポートしたい」と述べた。また、田中委員長は規制委の初会合で、規制委や規制庁の会議を「すべて原則公開で透明性を確保する」という方針を示した。
【経済】 浮上する円安シナリオ、日米欧の金融緩和の意外な側面
日本経済新聞 2012年9月20日
欧州中央銀行(ECB)の南欧国債購入、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和第3弾(QE3)、そして日銀の追加金融緩和――。多くの市場参加者が身構えた重要イベントを終え、円相場は今後どう動くのか。市場では「米欧が打ち出した強力な金融緩和策に比べ、日銀の対応は見劣りするため、今後も円高圧力は消えない」との声も漏れる。だが緩和策の中身の分析から見えてくるのは、意外にも円安シナリオだ。
米欧の金融緩和策の特徴を言い表すと、「無期限・無制限」というキーワードに行き着く。ECBのドラギ総裁は南欧国債の購入にあたって「量に制限は設けず、目標を達成するまで買う」と宣言。FRBもECBに対抗するかのように、住宅ローン担保証券(MBS)の購入について期限や総枠を設けなかった。
■副作用より市場対話を優先
市場に強いメッセージを発することが重要で、通貨の信認低下やバブルの誘発といった副作用リスクも辞さない。そんな米欧の決意が浮かぶ緩和策だ。これに対し、日銀が打ち出した追加緩和策は資産買い入れ基金の10兆円増額という、これまで実施してきた政策の延長にとどまった。買い入れ余地が少なくなり、市場参加者の期待感が強まっていた上場投資信託(ETF)の購入枠拡大も盛り込まれていない。
この点について、日銀の白川方明総裁は19日の金融政策決定会合後の記者会見で「日銀は買い入れ基金に上限や期限を定めているが、累次にわたって拡大、延長している」と述べ、「日本の金融環境は先進国の中で最も緩和的だと思っている」と反論した。それでも「経済再生のためには副作用リスクもいとわない」という米欧の緩和策が発するメッセージの方が、市場参加者により強く響いたことは間違いない。
一般に為替市場では、金利が低い通貨から高金利の通貨に資金が流れやすくなる。緩和策が強力なほど金利引き下げ効果も大きいため、通貨安になりやすいわけだ。今回の日米欧の緩和策を「強弱」という判断基準で比べれば、「為替相場は円高方向に振れやすくなる」という見方が強まるのは当然といえる。
だが今回の緩和策の中身を分析すると、全く違った相場観が浮かび上がってくる。
■欧米の緩和策は円高招かず
まずECBによる南欧国債の購入。確かに無制限の買い入れは強力な措置であり、スペインやイタリアの国債利回りを押し下げる効果は小さくない。だが円・ユーロ相場に大きく影響する金利として市場が注目するのは、専らドイツ国債の利回りだ。ドイツ憲法裁判所が12日に欧州安定メカニズム(ESM)に合憲の判断を示したこともあり、今回の緩和策を受け、ユーロは欧州経済の安定期待から買われやすくなるのではないか。
FRBも同様だ。今回、期限や総枠を定めずに購入することを決めたのはMBSであり、米国債ではない。実際、FRBが緩和策を発表した直後、10年物米国債利回りは低下するどころか、一時的に上昇している。欧州と同じく流動性供給の拡大期待はリスク資産の価格を押し上げ、ドル買いを誘発する可能性が高い。
一方、日銀はどうか。今回の追加緩和で買い入れ拡大を決めたのはすべて日本国債。緩和策が国債利回りを押し下げる効果を期待できる。欧州債務不安が一服したことで、為替相場は経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映しやすくなっており、為替アナリストの深谷幸司氏は「日米、日独の金利差拡大が円安要因として働きやすくなるため、1ドル=80円回復が視野に入ってくる」と指摘する。
実際に円安を意識する市場参加者もいる。
「このところ海外の投資家から、日本の政局はいつ動くのか、尖閣諸島問題はどうなるのか、といった問い合わせが急増している」。シティバンクの高島修チーフFXストラテジストはこう打ち明ける。為替市場では1年以上にわたって1ドル=80円を上回るような超円高局面が続いてきた。高島氏は「海外の投資家は『そろそろ円安シナリオを検討する時期が近づいている』と考え始めたようだ」と分析する。
ヘッジファンドの売買動向を反映するシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)通貨先物市場の円・ドル取引動向(11日時点)をみると、円の買越額が前週よりも膨らんでいることが分かる。これまで円を買い続けてきた海外の投資家からみれば、円売りに転じるタイミングを慎重に見極める段階に入っているといっても過言ではない状況だ。
■中国経済の減速不安じわり
ただ世界経済がこのまま改善に向かい、リスクオン相場が復活すると考えるのはまだ早いかもしれない。最大の不安要因は中国経済の減速だ。
「中国経済の分析は、本日の決定会合でもかなり大きなテーマだった」。日銀の白川総裁は19日の会見でこう明かした。中国経済は欧州向けの輸出が落ち込んでいるうえ、このところ素材産業など幅広い分野で在庫調整圧力が強まっており、減速状態が長引いている――。白川総裁の口から漏れる中国への見方は、以前よりも格段に厳しさを増している。
こうした不安定な経済情勢を映し、中国国内の不満が反日デモをあおっている側面がないわけではない。QE3決定後の円安について、市場に「中国の地政学的リスクが意識された」との解釈が広がったのもそのためだ。だが懸念すべきは、中国経済の減速長期化が世界経済の不安要因として意識され、再びリスクオフ相場に逆戻りすることだ。その際に為替市場で起きるのは、リスク回避の円高だろう。
日米欧の金融緩和後の円安シナリオと中国リスク。ここから導き出されるのは「緩慢な円安」といったところではないか。
◆ 用語解説
▪ 原子力規制委員会とは?
原子力規制委員会(Nuclear Regulation Authority ,NRA)は、日本の行政機関である。環境省の外局。委員会の事務局として原子力規制庁が置かれている。
▪ 欧州中央銀行(ECB)とは?
欧州中央銀行(European Central Bank)は、ユーロ圏17か国の金融政策を担う中央銀行。世界でも重要な位置づけをされている。頭文字を取ってECBという略称が用いられる。
欧州中央銀行は1998年6月1日に設立され、本店をドイツのフランクフルトに置く。 欧州中央銀行(European Central Bank)は、ユーロ圏17か国の金融政策を担う中央銀行。世界でも重要な位置づけをされている。頭文字を取ってECBという略称が用いられる。欧州中央銀行は1998年6月1日に設立され、本店をドイツのフランクフルトに置く。
▪ 米連邦準備理事会とは?
連邦準備制度(Federal Reserve System, FRS)はアメリカ合衆国の中央銀行制度を司る企業体で、ワシントンD.C.にある連邦準備制度理事...