「子どもの『不適応行動』について」
日常生活において、人々の欲求が何の障害もなく、すべてにおいて充足されることはほとんどない。現実には、様々な障害や困難のために、欲求が妨げられることのほうがむしろ多い。
これらの欲求不満に(フラストレーション)に対して、人々は自分を環境からの要請に適合するように変えたり、環境を自分に適合させるように働きかけたりなどして適応してゆく。
子どもが育っていく過程においても、乳児期には欲求不満に起因した反抗やかんしゃくもちなどがみられることがある。
しかし、次の幼児期段階になると、欲求不満に耐える力によって、欲求の満足が阻止されても不適応状態に立ち至らずに済ますことができるようになる。不適応の状態にまで立ち至るのは、欲求不満に耐える力が弱かったり、欲求の満足を阻止する力が強大で永続的であったりするときである。
子どもは育つ過程で、親の所にいたいのに幼稚園や小学校に行かされる、他の子どもと仲良くしたいのに意地悪をされる、先生にしかられてしまうなど、子ども欲求不満を抱えるようになる。そのなかで子どもたちは自分の欲求を抑えたり、環境に働きかけて状況を変えて...